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夢が叶っても、走り続けなければならない


お風呂で泣いた。

恋人があまりにもキラキラした未来を語るから。彼が出たあと、気がついたら一人で泣いていた。

小さい頃からパティシエになることが夢だった。18歳でその夢を叶えて、パティシエになった。文字通り夢中で働いていた。その会社は同年代の子が多くいて、みんな仕事の事でよく泣いていた。

私は、若い女が人前で泣いたら負けだと思っていたので絶対に泣かないと決めていた。(何と勝負していたかはわからない)かわりに、深夜環七沿いを歩きながら一人で泣いた。帰りのこの道だけは、誰にも会わずに済んだ。今日、お風呂で泣いて何故かこのことを思い出した。

結局パティシエは3年ちょっとで辞めてしまった。ウイルスが世界に蔓延して、元々ブラックの飲食業界はさらに悪化したように思う。それに耐えかねて、辞めてしまった。

それ以来ずっと事務をしている。それなりのお給料は貰えるし、お休みは以前よりずっと沢山あるし、労働時間は守られてる。でも今日みたいに夢を語られたり、夢を叶えている人をみると少なからず苦しくなる。夢を叶えたはずが、それはまだスタートラインで、ゴールなんてどこにも見えなかった。私はこの先どうすればいいんだろう。

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