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物理屋さんのためのアナログ回路入門

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物理屋さんが仕事でアナログ回路屋さんになったときに学んだことの備忘録。教科書見たほうが良いかもだけれど、工学屋さんでない自分がつまずいたところや、物理屋さんらしく数式をベースに考…
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#半導体

トランジスタによる信号の増幅(エミッタ接地増幅回路)

トランジスタによる信号の増幅(エミッタ接地増幅回路)

 前回はトランジスタの基本特性について議論しました。今回はこのトランジスタを使って信号を増幅させることを考えます。トランジスタによる信号増幅はアナログ回路の初めの山場であり、これを理解できればエンジニアとして一歩前進と言っても良いでしょう。

0A.記号の約束 今回は直流と交流が入り乱れて出てくるので、直流信号は大文字で下に0の添え字をつけます(V_B0やI_C0など)。交流の信号は小文字で表現し

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トランジスタってどういう素子?(トランジスタの静特性)

トランジスタってどういう素子?(トランジスタの静特性)

 私が高校生のころ電子回路というものに興味を持ちそうになったことがありました。お金がない高校生、本屋で入門書を立ち読みをしていると「トランジスタは電気を増幅します」という本の記載を発見。これを見た私は「電子回路っていうのはエネルギー保存則が破れているっていうんです?いくらトランジスタが世界を変えたとは言えそんなわけあるかい!」と早とちりして本をぱたり。そのまま社会人になるまで電子回路とは無縁な人生

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ダイオードの電流ー電圧特性

ダイオードの電流ー電圧特性

「ダイオードはp型半導体とn型半導体を接合させたもので、電流を一方通行となるように流し、0.6Vくらいの電圧をかけると順方向に電流が流れる素子」という説明がよくされています。しかしこの説明、概要はなんとなくわかるんですが、実際には曖昧過ぎてよくわからないんですよね(私はそうでした)。そこで、今回はダイオードに電圧をかけるとどういった挙動をするのか、数式を使って考えてみましょう。

1.ダイオードの

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