【歌詞批評】恋する夢の感触: スピッツ『渚』/ GLAY『SOUL LOVE』

 スピッツの「渚」と、GLAYの「SOUL LOVE」は、その歌詞において「片思い」という共通のテーマを美しく描いているが、その表現は異なる。

 「渚」は片思いの淡い夢を描き出し、風景描写を用いて感情を表現する。「砂漠が遠く見えそうな時も」や、「ぼやけた六等星だけど」などの歌詞は恋への憧れや遠い存在への思いを静かに伝えており、聴き手に恋愛の抽象的な美しさと悲しさを感じさせる。また、「幻よ、醒めないで」というフレーズは、恋への夢が永遠に続くことを望む心情を表現している。


 一方、「SOUL LOVE」は片思いの情熱を強調し、より直接的な表現を用いる。

「ふいに心を奪った瞬間の
あのトキメキよりも眩しい程に」

 という歌詞は一瞬で心を奪われる恋の強烈さを表現している。さらに、「夢の続きを独りで見ていた」というフレーズは、一人で過ごす時間に対する感情や未来への期待感を示している。


 「渚」と「SOUL LOVE」は共に片思いをテーマにしつつ、その描き方において違いがあり、聴き手に異なる感情を引き起こす。
 「渚」は恋の美しさと悲しさを詩的に、「SOUL LOVE」は恋の情熱と未来への期待感を直接的に表現している。

 これらの曲は、私たちに片思いの感触の美しさを提供し、それぞれが聴き手の感情や思考に響くように作り上げられている。

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