ばばあもどきの日常と非日常 その13「今年いちばん考え方が変わったこと」

こんにちは。 “ばばあもどき”のルル山ルル子(ルル)です。
女の容れ物(身体)に男の魂が宿っています。
「トランスジェンダー」とか「FTM」とかの呼称がどうもしっくり来ず、 普段は「見た目は女 中身はおっさん」と自己紹介をしています。

今回は、今年の総括として「今年いちばん考え方が変わったこと」を書きます。
昨年までと今年で、私の中でいちばん考え方が変わったこと、それは「政治家」という存在に対する思いです。

「政治家」「議員」と聞いてイメージすること 

とある勉強会に参加させてもらっていた時、
アドバイザーとして来てくださっていたある市議さんが、こんなことをおっしゃっていたのです。
「社会に不満があったり、世の中に対してもやもやしていることがあるなら、まずは自分が議員になって変えて!
どうしても自分がなれないんだったら周りの誰かに託して議員になってもらって!
もし周りにも居ないんだったら立候補してる人たちをよく見て選んで!」と。

今年1年、私はこれまでの年より多くの人と関わって、嬉しいことも沢山言われたし、ひどいことも沢山言われたし、学びになることも沢山教えていただきました。
その上で、今年聞いた言葉の中でいちばん衝撃的でいちばん心に残っているのが上記の言葉です。

びっくりしたんです。
えーっ⁉︎ 逆じゃないの?
まずはあの選挙ポスターを見ながらどの人に投票するか選んで、
もし知ってる人で良い政策を掲げている人がいるならその人を応援して、
それでもしっくり来る人がいなかったら仕方なく自分が……、っていうなら分かるけど。
「まずは自分が議員になって」⁉︎

「政治」との関わり

昨年、私にとって恩義のある人が参議院議員選挙に出馬した際、私はあれこれ迷った挙句、ボランティアとして応援に駆け付けました。
昔 色々あった身としては、もう政治というものには関わらないで生きて行こうと思っていたのですが、
この時を逃したら私みたいな一般人が有名人に恩返しをする機会なんか一生訪れないだろうとの思いから、ポスター貼りやらビラ配りやらを細々とお手伝いしました。
結果的には当選には至らず、
かと言って私を含めボランティアメンバーの多くは心の中の火を消すことが出来ず、
ある人は自らも出馬し、或いは出馬を表明し、
それ以外の人たちも同じ志を持ってそれぞれのフィールドで頑張っています。

私はといえば、
応援していた候補者が今後また何かしらあるのかないのか、あるならまた応援に駆け付けるつもりでいるし、
仲間内でも4年後の統一地方選挙に出馬を表明している人がいるので応援したいと思っているし、
とはいえ30年近く政治というものから目を背けて暮らしてきてしまったが故にすっかり無知になり感覚も鈍ってしまっている我が身をなんとかしようと
生まれて初めて「政治塾」なるものに参加してみたり、他の方の選挙のお手伝いをさせてもらったり、いくつかの勉強会に継続して参加させてもらったり、ここにはちょっと書けない取り組みをしていたり、資金稼ぎのためにヤバいくらいシフトを詰め込んで働いて貯金をしていたり……という1年でした。

そんな訳で、「政治」とか「選挙」とか「政治家」というものについて考える機会はとても多かった1年だったのですが、
そんな私からしても「まずは自分が議員になって変えて!」という言葉はものすごく衝撃的でした。
初めに感じたのは「そんな簡単に言うけどさぁ……」でした。
でも、考えてみれば、言っている本人は市議さんな訳だから市議会議員選挙を勝ち抜いて来た方な訳で、
決して「選挙」というものを簡単に考えてはいないと思うし、「簡単に」言っているはずはないのです。
私なりに解釈すると、「被選挙権」という権利を持っているにも拘らず、それを行使することもなく、況してや投票にすら行かずに「世の中を動かしているのは政治家だ」として
その政治家に“外”から文句を言っているだけ、ということに対する不毛さを言いたかったのかな、と思いました。

ここでまず、私の「政治家」とか「議員」という存在に対するイメージが変わりました。
「政治家が社会を変える、私たちはそれに対してあれこれ言う」という構図は間違っているのです。
一般的にそうなりがちではあるけれども。

「議員である」ということ

さて、話は昨年に戻りますが、
自分たちが応援していた候補は落選し、一方で当選した候補者たちに目を向けると
トップ当選しているような候補者で(イデオロギーの違いや好き嫌いは置いておいて)「まあ、当選するだろうな」と思うような人もいれば、
言葉は悪いけれども「何でお前なんかが⁉︎」と怒りや恨み言をぶつけたくなるような人もいたりする訳です。
また、地方議会でLGBTQに対するひどい発言をするような議員のニュースを見ると「何でこんなやつが当選したんだろう」と思ってしまうこともたびたびあります。

でも、今年、何人かの選挙のお手伝いをさせてもらって強く感じたことがありました。
「議員」って、「政治家」って、どんな人でも、選挙で選ばれてそこにいるんです(たまに無投票とかあるみたいだけど)。
私(たち)から見てどんなにひどい差別主義者に見えていたとしても、それを支持する人たちが一定数いたからこそ議員になったんです。

順風満帆にトップ当選を果たした議員も、血の滲むような努力や周到な準備をして万全の体制で選挙運動を頑張っていたんです。
4月の統一地方選挙で、応援していた人が2人、トップ当選を果たしました。
それまで選挙でトップ当選をする奴にろくな奴はいないと思っていたのですが(親の地盤を引き継いで金にモノを言わせている与党の議員、みたいなイメージ)、そのイメージは見事に覆されました。
議員の中で、楽をしてその肩書を手に入れた人なんか1人もいないんじゃないかと思うようになりました。
「老害」なんて呼ばれている高齢の議員がいるけど、選挙中、腰痛や尿漏れの悩みと戦いながら演説してたんだろうなぁ、とか
子供がいる議員なんか、子供が品行方正なら良いけど、ヤンチャな子の親だったりしたら「どうか選挙中に子供が問題を起こしませんように」ってヒヤヒヤしてだだろうな、とか
みんな大なり小なりプライベートの悩みも抱えながら政治活動や選挙運動をやり抜いて議員になったんだよなぁ、と思ったら
イデオロギーの違いや好き嫌いは一旦横に置いておいて、全ての政治家、全ての議員に対して心の底から尊敬と労いの気持ちが湧いてきました。
よく、国会中継で居眠りしている議員が映し出されて文句を言われてるけど、そりゃ疲れるだろうよ、選挙戦を戦ってきたんだから、と同情の念さえ湧いてしまいます。
(でも寝ちゃダメだけど)

春に、統一地方選挙のお手伝いをさせてもらって、
夏に勉強会で「まずは自分が……」の言葉を聞いて、
そんなことを考えた1年でした。
他にも色々あったけれど、自分の中で今の時点でいちばん大きかったのがこのことでした。


今年、noteを始めて、LGBTQのことや政治のことを書こうと思っていたのですが、政治に関することがなかなか書けずにいました(不勉強だからです)。
今後はもっと色々書いていけたらと思っています。
読んでくださった方、どうもありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

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