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The Making of Rurouni Kenshin―るろうに剣心のすべて 第七章:照明 平野勝利さん

“前作を超える”という強い信念の元、映画『るろうに剣心』シリーズを進化させ続けた日本を代表するプロフェッショナルたち。映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』の撮影舞台裏に迫る、限界知らずのチーム「るろうに剣心」スタッフの皆さんのインタビュー連載企画!

第七章は、『るろうに剣心』シリーズ全作品で、照明を務めた平野勝利さんにお話を伺いました。

さらに現在Podcastでは製作陣が撮影の裏側を語りつくす「映画 るろうに剣心最終章 レジェンドヒストリー」を配信中👏
前回インタビュー掲載した撮影監督の石坂拓郎 さん、本日ご紹介する照明の平野勝利さん、さらに飛び入り参加の大友啓史監督によるここでしか聞けない制作裏話も合わせてお楽しみください!

■衣装や美術を印象づける、
時代劇離れしたライティング

『The Final』と『The Beginning』では、時代が違います。時代が違えば、当然、衣装の色映えも違う。そこの中で生きていく人たちの逞しさ、儚さを、どう表現するか、がポイントでした。
そのひとつに、影をしっかり作ろうとしたこと、が挙げられます。振り返ると、影の部分は非常に大事にしていたと思います。あとはやはり色使い。『The Final』はエンタテインメント寄りの色使いに、『The Beginning』はちょっとクールな感じにしています。ただ、あまり落ち着いた世界観にもしたくない。クールな中にも、何かしら『るろうに剣心』らしさのようなものを考えていました。
僕の中にある『るろうに剣心』らしさは、従来の時代劇にエンタテインメント性を持たせていること。華やかさだったり、かっこよさだったり。
光が馴染みすぎない、ということはポイントかもしれません。空気になりすぎない、と言えばいいでしょうか。
かつての時代劇は、背景や状況に光を馴染ませていた。そうではなく、たとえば、演者さんを引き立たせる。そのために、衣装だったり、美術だったり、そういうところを印象づけていく。目立たせる、のではなく、際立たせていくことを重視しています。僕は、映画だけでなく、広告や音楽映像の照明も手がけています。他の分野のいいところも、映画に取り入れられたらいいなと思いながら、光を作っていますね。

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時代劇だけれども、時代劇ではないものを目指している。『るろうに剣心』には、そのようなところがあると思います。このことをどう表現したらいいかわかりませんが、「型にはまらない」ということは言えるかもしれません。ライティングにしても、色使いにしても、型にはまらないようにはしていますね。メリハリをつけること。奥行きをもたらすこと。それは常々やっていることですね。どのようなステージにするか。そこは撮影を始める前にすべて決めています。

■剣心が朝日を浴び、縁が心を開く光
あそこが僕の見せ場、僕のファイナル

『るろうに剣心』の見せ場のひとつは、やはりアクション。そのアクションはどうすれば撮影できるのか、そのあたりを気を遣いつつ、頭の中で整理して、プラニングして、できるだけ撮影しやすい状況でのライティングを考えます。
『The Final』の最後の闘いは、一夜の出来事じゃないですか。あのシーンはすごく大変でした。剣心が朝日に照らされるシーンを終えたとき、「今日の仕事は終わった!」という感慨深さがありました。それだけ大変でしたね。
どこで明るくして、メリハリを生んでいくか。室内で闘っているときに、明るくしていっても、窓の外からの光では、あまり変化を感じられない。やはり、アクションの瞬間であったり、カメラの構図であったり、お話の流れであったりということの中でこそ、いい光を作る必要があります。
縁との最後の闘いの後半、剣心が劣勢の中から立ち上がるところ。あそこが夜だったら、縁の心が変わっていく様がわかりづらい。だんだん明るくなっていく中で、縁の心変わりが広がっていくように見えた方がいい。このことをライティングで表現できれば、と考えました。

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『The Beginning』は、しっかり作り上げた影を通して、剣心と巴の距離感が縮まっていくことを表現したいと思いました。
影が柔らかくなっていく。全体的な影の柔らかさが、ふたりの距離を伝えるように。剣心が心を開いていく中で、光も柔らかくなっていく。つまり、呼応していく。そのようになればいいなと思っていました。

個人的に思い入れが深いのは、剣心が朝日の光に包まれていくところ。あそこが今回、最大の見せ場だと思っています。縁が心を開くまでに至るその過程こそ、僕の見せ場であり、僕のファイナルだったかもしれないと、いまは考えています。

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                          聞き手:相田冬二

シリーズ累計観客動員数1300万人を突破!日本映画史上初の快挙となる2部作ワンツーランクインで、週末ランキング独占!日本映画の歴史を変えたエンターテイメントの頂点として君臨するアクション感動大作『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』2部作ともに大ヒット上映中!キャスト&スタッフの『るろうに剣心』シリーズ10年間の集大成を是非劇場の大きなスクリーンでご堪能ください!
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