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140字小説 「白い獣」

木陰に見慣れぬ白い獣が倒れていた。矢が刺さり、男が抜いてやると獣は去っていく。その晩、訪問があった。地元領主の遣いで、昼間に仕留め損ねた獣を探していた。知らないと答えると、嘘をつくなと迫られた。それでも白を切ると、遣いは笑いながら、お詫びのつづらを置いていく。中身は油揚げだった。

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