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140字小説

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140小説まとめ
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2024年6月の記事一覧

140字小説 「憑かれた男」

男は物の怪に憑かれていた。近所の神社にお祓いを頼んだのだが、神主は首を横に振った。「これ…

霧満るろ
3週間前
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140字小説 「認識の相違」

「何を聞いているんだい?」「ビートルズだよ」「これはまた古い曲を聞いているね」「音楽に新…

霧満るろ
3週間前
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140字小説 「最後のコイン」

「あと一枚でコインタワーが完成する」「これで一週間の苦労が報われるね」「でも実は、あと一…

霧満るろ
3週間前
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140字小説 「同じ台詞」

「私が王様になったら」男の演説は誰も見向きもしないものだった。「今の政治よりも良く」翌日…

霧満るろ
3週間前
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140字小説 「探偵は見た」

共通の趣味を持つ四人の男がいたが、二人は金銭関係で揉めており、旅行中に犯人は被害者に毒物…

霧満るろ
3週間前
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140字小説 「川辺の少年」

船が停泊していた。こんな場所に浮かべた覚えはない。周囲を見渡してみると、川辺で一人の少年…

霧満るろ
3週間前

140字小説 「ドレミの歌」

「どこかにいないかな?」「レンジャーみたいな彼氏が欲しいんだっけ」「みんなのこと助ける人に憧れるの」「ファイアマンなんて理想だね」「そうそう。でも私の方が釣り合わないんじゃないかって不安になっちゃう」「ラフに考えれば良いって」「辛抱強く待つしか……ねえ、あの人」『どストライク!』

140字小説 「最速対決」

今日の体育は、待ちに待った50メートル走の日。普段はクラスメイトの速水くんに負けているけ…

霧満るろ
4週間前

140字小説 「目的地まであと」

「おや、どうしたんだい?」「あの木の下に行きたいんだ」「それはい良いね」「でもすでに三十…

霧満るろ
1か月前

140字小説 「プリン長者」

妹にプリンを食べられた。代わりにシュークリームを入れたらしいが、母が食べてしまった。代わ…

霧満るろ
1か月前
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140字小説 「白い獣」

木陰に見慣れぬ白い獣が倒れていた。矢が刺さり、男が抜いてやると獣は去っていく。その晩、訪…

霧満るろ
1か月前

140字小説 「深夜の集会」

森に住む魔女は、夜な夜な子供を集めていた。噂を聞いた旅人は、正義感で夜に魔女の洋館に忍び…

霧満るろ
1か月前
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140字小説 「善意」

ある田舎に宇宙船が降りた。侵略の先遣隊として地上の様子を窺いに来たのだ。宇宙人は付近の民…

霧満るろ
1か月前
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140字小説 「交番の少年」

お使いで迷った少年が、交番で道を訊ねるが不在。そこに財布を拾った女と鉢合わせ、善意で落とし物を引き受ける。さらに男が自首してきたが、後で戻るので伝えて欲しいと去ってしまった。少年はいっぱいの頭で、帰ってきたお回りさんに全て伝えた。「道を間違えて。これ財布。さっき自首しに来ました」