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精油の基本的なこと Ⅱ

精油の選び方

 数ある精油の中から目的のものを選ぶ時に、
 少し役に立つかなと思ったことを、
 まとめてみました。
 
精油の原料は植物です。
野菜やお米のように、天候や日照時間、
栽培地の違いなど、その植物の育った環境
によって香りに違いが出てきます。

香りが違うということは、成分も違ってきます。
成分が違うと効能も違ってきます。

また抽出方法によって、採取される成分や成分数
などに違いが出てくることがあります。
例えば柑橘精油を圧搾法で抽出すると、生に近い
状態で成分が採取されますが、水蒸気蒸留法では
熱を加えることになるので、採取される際に残る
ものと残らないものの違いが出てきます。
柑橘精油の場合は、この違いが保存方法や使い方
にも影響してくる点です。

精油には、それぞれ個性があります。
その作用により、精神面にアプローチすることが
得意だったり、また痛みなど身体に効くもので
あったり、さまざまです。

そうした効能で選ぶ時に役立つのが学名です。
学名は世界共通のもので、属名と種小名から
なります。
 ユーカリ(属名)・グロブルス(種小名) 
Eucalyptus  globulus   ← 正式な表記です。

精油の中にはひとつの名前でも、種類がいくつか
あるものを見かけることがあると思います。

例えばユーカリの場合だと、
ユーカリ・○○○○のように、属名が同じで種小名
の違うものがたくさんあります。

風邪などの時、去痰や抗ウィルス作用のある
1,8シネオールという成分が有効です。
これを多く含むのがユーカリ・グロブルスですが
多い分、少しきついなと感じる時は、
ユーカリ・ラディアタの方が1,8シネオールは
少ないので香りが少し穏やかで使いやすいです。

そして、ユーカリ・シトリオドラという種があり
ますが、これには1,8シネオールは通常入っていず
シトロネラ-ルという抗炎症・鎮痛作用のある
成分が入っているので、主に筋肉痛などに効果の
あるものです。

ローズマリーも種類がありますが、ユーカリとは
表記が違います。
販売されていて、よく見るのはこの3種類です。
Rosmarinus officinalis ct. camphor
 (ローズマリー・カンファー )
Rosmarinus officinalis ct. cineole
 (ローズマリー・1.8シネオール )
Rosmarinus officinalis ct. verbenone
( ローズマリー・ベルべノン ) 

こちらはユーカリと違い、属名・種小名とも
同じで ct. がつきます。ct. から先は成分名です。
種が同じでありながら、環境の違いで含有成分や
成分量が変わるため、このように区別します。

この ct.とつくものを、ケモタイプと言います。
ケモタイプは他に、タイムやバジルにも
あります。

ラベンダーの例も、3種類あげておきます。

スパイクラベンダーは、標高の低いところで
育ちます。成分には1.8シネオールやカンファーを
含むので、どちらかというと呼吸器系に作用する
精油です。

ラバンジンは、ラベンダーとスパイクの交配種で
両者の中間地帯で栽培されます。
成分も両方の特徴を持ちます。

真正ラベンダーは高地で育ち、標高が高いほど、
また自生のものほど(ワイルドラベンダー)
香りが良いとされています。
鎮静作用のある成分が多く含まれているのは
この精油です。

このように同じような名前で目にしても、
特徴の違いで選び方も変わってきます。
ちょっと知っておいて実際に香ると、
新たな発見があって楽しいですよ。

1828年にドイツの化学者ウェラーが
天然の成分であった尿素を合成することに
成功し有機化合物の定義が変わった、
と本で読んだことがあります。
それまでは、
「動植物の生命力によってのみ作られる物質」
だったそうです。

その一滴に不思議な力を持つ精油には、
そんな神秘的な解釈のほうがしっくりくるな、
と思うのです。

最後までおつきあい頂き、ありがとうございます!
3話はマッサージオイルについての話しです。

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