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詩集:母性の分かれ道

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子育て中の母親の立場から感じること(主に葛藤)を、詩という形で綴っています。
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記事一覧

しあわせの大福

ぷくぷくとした 君のほっぺたのふくらみにぞっこんで 触るのは元より ななめ後ろの角度から…

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おふとんで えほんのじかん

ぼくの だいすきなじかん それは おふとんで ママに えほんをよんでもらうじかん ママの…

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冬の ねもふぃら

芽が出ない…… 十月 みはらしの丘*を切り取ったような 小さな絨毯を夢見て 幼稚園児の息…

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冬休みの朝活

またやって来た この季節 年に三度ほど訪れる 幼稚園児の母親に課せられた 長期休暇という名…

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ママはへなちょこ運転手

先生 あのね ぼく お休みの日は パパとママといっしょに 車でおでかけするんだ パパが運転し…

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日曜日の赤い風船

幼な子を連れての 外食というものは 赤い風船を 膨らませて 膨らませて 膨らませて ぱーんと割…

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ゆで卵のある朝

朝 冷蔵庫に常備している ゆで卵を一つ取り出し 殻をむき 皿に載せ 食卓に置く それは息子の大好物 切って出すとふくれっ面をするので 丸ごと出しているそれを 幼な子は一口かじり 残りの白身を器用にはがし 口に放り込む 皿の上に転がる まんまるお月さま きいろいのは たべるとこぼれるから きらい 他のものを幾度となくこぼすのを棚に上げ 幼児なりにそう理屈をこねる たぶん 今だけの役割分担 白身は君で 黄身はママ時々パパ そう言えば 私 最近白身を食べていない

かたつむりの家

梅雨の頃に見つけてからというもの かたつむりを捕まえるのが マイブームの幼な子 お気に入り…

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白いお手本、黒いお手本

乳児期の快楽原則の延長で これからも我が家の小さな皇帝に 他ならぬ君だから そうさせてあげ…

3

太陽のおまじない

昼間の出番が 一年でもっとも長い この季節の明け方 横向きで眠る幼子(おさなご)が 母に背…

4

六月十日の掛け時計

この日 年中の君が 園から持ち帰った 丸い紙皿で作った掛け時計 12から11まで並べられた …

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密室空間を見つめる第三の眼 ver.2

梅雨がちな空の下 密室空間に 母と幼子(おさなご)が一組 高齢の祖父母は 飛行機がなければ…

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すきま時間の創作部屋

常夜灯が照らす寝室 すーすーと 寝息を立て始める小さな命 <怪獣>が天使へと 変貌を遂げる瞬…

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黒鬼の雑巾絞り

ガシャン! 食卓で はしゃぐ幼子(おさなご)の 手に当たって落下する スープマグ じわじわと床に広がる温かな液体 下腹部に積もり積もり 飽和状態となった黒いエネルギーは その放出先を求め始めた 部屋に残る錯誤の跡 投げつけたおもちゃが当たって えぐれた白い壁 腸(はらわた)がはみ出て 縫合したクッション まっさらな土壌に 植え付けたかもしれない歪みの種 エネルギーが変換された形 それは 怒号なのか 物体へ加える衝撃なのか それとも… 待ったなしの選択を迫られた刹那