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日本で最大級のアートコレクションはまさに圧倒的。東京国立近代美術館

国立、というだけあってその規模感は圧巻。

東京都・千代田区の竹橋駅を出たらすぐそこ。オフィスビルの立ち並ぶ都心にありながら、皇居周辺の豊かな水と緑を感じられる。お天気の良い日にはランニングをしたくなるような、のどかな開放感に溢れている。

東京国立近代美術館は昭和27年に誕生した日本で最初の国立美術館で、重要文化財を含む13,000点超のコレクションは国内最大級。所蔵作品展の「MOMATコレクション」では日本画、洋画、彫刻、写真、映像などさまざまで多彩な作品に触れながら、日本美術の歴史を感じられる。
分館として石川県金沢市で国立工芸館を運営している。

シンプルでモダンな外観の館へ入ってみると、室内もきれいな美術館だとわかる。ガラス張りの壁からは光がよく入り、心地が良い。

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平たい靴を履いて、鞄とコートはロッカーに預けて。
準備ができたら展示室へ進んでみよう。


柳宗悦没後60周年記念展
民藝の100年

展示室

その広さは圧倒的。白壁のシンプルな空間は展示品の存在感を引き立てていて、キャプションもわかりやすい。クオリティの高さもピカイチだ。

今回展でいう民藝とは民衆的工芸《Folk Art》のこと。柳宗悦を中心とした民藝運動のグループにはイギリス人のバーナード・リーチがいるなど国際色豊か。グローバルで多様性に富んでいたこともあってか、東西の融合による美の発見には目ざとかった。
気に入ったファッションやライフスタイル雑貨をお揃いで身につけていた彼らは存在そのものが「民藝」のアイコン。後期には官僚もチームに加わり、活動の幅をどんどん広げていた。

それまで「美術」に対する「工芸」はアートとして高く評価されてはいなかった。けれども柳らはこれら工芸品に着目し、朝市で「下手物(いわゆるゲテモノではなく、上等品の逆である安価な品物)」と呼ばれていた手工芸に目を光らせる。ふつうの家のふつうの家具や食器に「美」を見出したのだ。

【出版】【美術館】【ショップ】をすべて自前で運営し、3本の柱としていた民藝の一大ムーブメント。雑誌そのものも工芸品として装丁や見た目にこだわり、収納用の箱まで販売していたのだとか。

「民藝」のジャンルを確立した柳らは、それだけでは終わらない。過去に残された「民藝」の品々をさらに未来へ繋げていくために、「民藝」の作り手育成にも尽力した。メンバーの中にも作家がいたことから、リアリティがあって当事者意識が高かったことも窺える。温かな手仕事の文化が失われる時代の流れをキャッチし、残すための取り組みにも手を出したのだ。

何の因果か、柳はこの東京国立近代美術館を批判したことがあるらしい。「東京」「国立」「近代」「美術」、すべて柳らが軸としたものとは真逆。「在野・地方」「私立」「非近代」「工芸」。要するに「お前ら、美術はよくやってるけど工芸はまだまだだな」と言ったのである。その“お叱り”を受けた東京国立近代美術館が柳宗悦の没後60周年を記念して工芸の展示をするのは気骨があるともいえるし、粋なものだ。

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生活の中のありふれた品々にこそ美がある。
「美術」の館は「工芸」の展示に挑み、民藝というあまりに広範囲をカバーするジャンルを丁寧に100年分追った。
その展示内容はもちろん、図録も含めて現代の貴重な資料になったといえるだろう。


ミュージアムショップ

東京国立近代美術館のミュージアムショップには、オリジナルのグッズがたくさん並んでいる。海外のグッズや書籍も豊富だ。所蔵作品の中でも人気の高いものをモチーフに作られたマグカップやチケットファイル、マスキングテープなどは作品のファンには嬉しい。

展覧会によっては特設ショップを運営しているため、そちらも見てみよう。

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ミュージアムカフェ

観賞後にちょっとお洒落なランチやディナーを楽しみたいなら、「L'ART ET MIKUNI(ラー・エ・ミクニ)」がおすすめ。

イサム・ノグチの巨大な名作『門』を間近に鑑賞できるこのレストランでは、「《芸術と料理》をテーマに、フレンチとイタリアンの融合をアートする」がコンセプトの逸品を楽しめる。テラス席からは四季折々の皇居の風景を眺められ、シティライクな優雅さを存分に味わえるだろう。

年間パスポート

もしこの美術館に「たくさん訪れたい!」「寄付をして応援したい!」と思うなら、バリエーション豊かな会員制度も必見だ。寄付会員制度の「MOMATメンバーズ(賛助会)」はプレミアム会員・特別会員・維持会員・個人会員の4種類。税制上の優遇措置もあるため、まとまってお金を毎年寄付したい方にはおすすめ。

よりライトな会員制度としては、「MOMATサポーターズ(友の会)」「MOMATパスポート」も展開されているため、年会費や特典内容をチェックして自分に合うプランを選ぶのがよさそうだ。

他には、「眺めのよい部屋」も見どころの一つ。皇居や丸の内ビル群を見渡せる素晴らしいロケーション。

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東京国立近代美術館ではラーニングイベントも豊富。対話による鑑賞プログラム「所蔵品ガイド」をはじめ、YouTubeなどオンラインコンテンツにも力を入れている。実地イベントの詳細はホームページの「教育」関連ページを見てみよう。

おわりに

美術に触れて、歴史を感じて、楽しく学んで。
大きなスケールだからこそ実現できる豊かなアート体験は、きっと心を潤してくれるだろう。

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東京国立近代美術館
〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3−1
TEL:03-5777-8600
公式ホームページ

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