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演劇の話をしよう

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演劇を中心とした、舞台芸術に関連するエッセイ。
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記事一覧

劇団コホミン『月の王国』終演によせて

「地球のみなさん、たまには月に遊びにきてくださいね! それまでどうぞお元気で。また、どこかでお会いしましょう! またね! 元気でね!」 *** 劇団コホミン『月の王国』の幕が降りた。 キャスト総勢18名は、現役大学生と地域の障がい者と小学生たち。 演劇経験者はほぼゼロ。 今日も同じ地球のどこかで「おはよう」して「おやすみ」している私たちが、“劇団コホミン”の一員となって作り上げた舞台。 いつもとちょっと違う演劇の話をしよう。 *** 「演劇をやってみたいんです」

小劇場の衣装・ヘアメイクさんが知っておくべき仕事の流れとポイント

はじめに「小劇場で衣装やヘアメイクのスタッフをやってみたい!」 「衣装スタッフをやることになったけど、仕事の進め方がわからない……」 「紹介やリピートのお誘いを増やして現場経験を積みたい!」 「自分のスタッフワークのクオリティを上げたい!」 こんなふうに感じている方がいたら、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。 (そもそもこの記事はどんな人が書いているの? と思ったら以下の紹介文をご一読ください!) 小劇場界隈で、衣装スタッフとしていくつかの現場を踏んできた私。 自

#サツマルリと演劇

サツマルリ(Satsuma Ruri) 俳優・衣裳スタッフ・広報。 2013年に大学の演劇サークルに入団。在学中は役者を中心として活動し、その傍らでWeb運営や小道具製作を担当する。 大学卒業後は、いくつかの公演に衣裳スタッフとして関わる。以後は衣裳を中心に活動中。 中学・高校では部活動で6年間ミュージカルの舞台に立つ。 クラシックバレエ・ボイストレーニング・ジャズダンスを習った経験を活かし、演劇でもパフォーマンスシーンの振付を担当したことがある。 ※過去公演では別名義

社会人劇団を、やろう。

「会社で自己紹介シートを書く機会があったの。そこで趣味欄に“演劇”って書いたんだけど、誰からもツッコまれなくて(笑)」 「えー! 私なら速攻で話しかけに行きますよ!」 「ははは! そう言ってくれるの、たぶん演劇人だけだよ」 *** 稽古場で、私はこんな会話を交わした。 その人は私が所属していた演劇サークルの大先輩で、今は会社員をしている。サークルの同期だった方とご結婚され、小さなお子さんも生まれて絶賛子育て中。カメラロールにずらっと並んだ子どもの写真をスクロールしながら、

ここに、最高の人生讃歌が鳴り響く。劇団四季『ノートルダムの鐘』を考察する

はじめに - この記事を書いている人について美術ライター・さつま瑠璃のもう一つの顔、それは劇団四季の大・大・大ファン。 小学5年生のときに『ライオン・キング』を見て以来、ミュージカルの虜。高校時代には神奈川の田舎から1人で浜松町まで足を運ぶようになり、19歳の歳に晴れて自分の名義で四季会員に。 そんな私が猛プッシュしている傑作『ノートルダムの鐘』。大好きすぎて3回観た。 四季を愛して早10数年、公式サウンドトラックをBGMに鐘ワールドを語ります。 ※ラストシーンを含むネタバ

『劇団四季 The Bridge 〜歌の架け橋〜』観劇レポート

「人生は、生きるに値する。」 コロナ禍に置かれて以来、一度も劇団四季を観に行かなかった。上演作品はほとんど過去に一度は観ていたし、このご時世に劇場という【混雑・密閉・人の密集】を避けられない環境に足を運ぶことはやはり抵抗があった。 毎月送られてくる「四季の会」会報誌には、これまでに見た覚えのない広告チラシ。 半年前からチケット争奪戦を制さなければ観られなかった人気演目も座席はガラガラで、「2週間前に予約して行ったの!すごく良かったよ!」なんて友人の声を聞いて、あー、世界変

『宇宙団地の花火大会』 公演衣装プランを語る

はじめに記事をご覧いただきありがとうございます。 ここでは、2021年2月に東京都内の小劇場で上演した演劇作品『宇宙団地の花火大会』を振り返りつつ、衣装の制作レポートや裏話を公開します。 公演概要 劇団ハーベイ・スランフェンバーガーのみる夢 第5回本公演『宇宙団地の花火大会』 脚本・演出 荒川大 於 新宿シアターブラッツ 2021年2月27日(土)〜2月28日(日) マチネ(昼公演):「昼の三作」上演 ソワレ(夜公演):「夜の三作」上演 サツマルリが衣装チーフ&プラン