見出し画像

対話するリーダーシップ#11 早く進めるには余裕をもって

対話するリーダーシップ#11 早く進めるには余裕をもって

あるグローバル企業のアジア太平洋地域のリーダーシッププログラムを担当することにあたって学んでいることをお伝えしてみたいと思います。学んでいること、そこに関する問いをここで共有することでビジネスパーソンの方々のご参考になったらと思っています。

今回のテーマはLiz de Wetさんの「早く進めるには余裕をもって」です。
Liz de Wetさんは、南アフリカ在住のリーダーシップ育成のコンサルタントで、ケープタウン大学・ビジネススクール、グローバル企業において、主に女性を対象としたリーダーシップの研修をされています。

Lizさんのリーダーシッププログラムでは、参加者がそれぞれのリーダーシップのあり方(Leadership presence)を掘り下げて、そこからチーム、組織へと影響力を発揮していく流れをとっています。時々に、Go slow to go fast というフレーズが出てきます。ここでは「早く進めるには余裕をもって」と翻訳してみました。

Lizさんにこのフレーズについて聞いてみると、正直、自分でもいつから使い始めたのか・・・ということだったのですが、韓国の方から、すごくアジア的な発想を感じると言われていました。中国由来で、韓国にもこういうことを伝える言葉があるそうです。日本では、急がば回れという言葉が一番近いのかなと思います。ただ、最近はあまり聞かないような気もしてきました。

何でも最短距離、最も時間のかからないようにすることが当たり前のように感じます。特にビジネスでは、当たり前のようにそれがあるべき姿であるように思ってきました。確かに、ある程度決まった業務を行うのであれば、それが最も効率的です。ただ、それが例えば、来年度にあたってはチームとしての新しい発想が求められているとか、ご自身のキャリア方向性、部下の方のキャリアの方向性を考える場面だとしたらどうでしょうか。どれも正解もないような場面です。

このシリーズの第4回でも取り上げた成功のサイクル、関係性の質→思考の質→行動の質→結果の質(→関係性の質へ)ということでも、最初にあるのは関係性です。人と人と間のことは、何かのタイミングで、関係性が深まるというのはどなたも体験されていると思います。早く起こることもあれば、少し時間がかかることもある、大切なのは、どれだけ時間をかけるかということよりも、時間がかかることもあるという余裕を持つことではないでしょうか。

キャリアの方向性を考えるというのも、一人で考えるというよりも、むしろ上司、周囲からのフィードバックを受けた上で、自分なりに考えてみる方が客観性もあるものになると思います。自分のことというのはなかなかわからないものです。前職では360度のフィードバックを受けていましたが、もっと時間的な余裕を持って依頼できていたらと思わずにはいられません。

さらに、チームとしての発想となると、最近では心理的安全性という言葉もあるように、安心して発言できる場を作ることが何より大切かと思います。第6回で取り上げたように、その場での気づきを生かして、自然な流れが起きることに任せるようにするというリーダーシップのあり方には、余裕をもって見守る姿勢が必要になると思います。

本日の問い
ご自身の職場で・・・
キャリアを考える上で、余裕を持ってフィードバックを求めたり、周囲に協力を得られているでしょうか?
新しい発想が求められている場面で、余裕を持って見守ることができているでしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?