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対話するリーダーシップ#9 考える環境を創る・焦らずに
対話するリーダーシップ#9 焦らずに
あるグローバル企業のアジア太平洋地域のリーダーシッププログラムを担当することにあたって学んでいることをお伝えしてみたいと思います。プログラムでは、深く考え、対話を通じて参加者の個人、組織の変容を促す中で、各地域の伝統的な内省的な考え方にも触れていきます。私自身、人としてのあり方を探るような対話のプラットフォームを作っていくことに興味があり、セキュラーな仏教を通じて学んできたマインドフルネス、瞑想的なあり方という観点からも関わっていくことになりました。学んだこと、問いをここで共有することでビジネスパーソンの方々のご参考になったらと思っています。
今回のテーマは「焦らずに」です。
今回取り上げるのは、Nancy Klineさんの「考える環境」(Thinking Environment©︎ )の10要素のうち、Easeです。
Nancyさんは、リーダーシップ育成のコンサルタント、著述家、パブリック・スピーカーです。1984年から「考える環境」を教え始められています。Nancyさんの考え方です。
人がするあらゆることの質は、まず考えることの質によっている。
つまり、考える環境を創るということは、リーダーシップの最初の責任である。
The quality of everything human beings do, depends on the quality of the thinking we do first.
Creating a Thinking Environment therefore, is the first responsibility of leadership.
ビジネスの中で何をするにしても、まずは考えるところから始まるというのは、確かにそうだと思います。ただ、その環境をチームや、1 on 1 の状況で準備するということも、リーダーの責任ということです。何気なく「考えておいてくださいね」と何度言ってきたことか・・・そこで自分ができることであったり、自分自身の考える環境自体も、よく理解していなかったのではと思います。
考える環境に必要な10の要素です。
注意を傾ける Attention
公平に Equality
焦らずに Ease
感謝を伝える Appreciation
励ましを伝える Encouragement
多様性/違いの受容 Diversity/Difference
適切な情報 Information
掘り下げる質問 Incisive question
場の安心感 Place
感情への配慮 Feelings
それぞれに定義もありますけれど、私の中で特に印象的だったのは、焦らずに(Ease)という要素です。これはなかなか意識できていないように思います。自分が上司としてチームの人に考えてもらう場合、むしろプレッシャーをかけてしまう方向に向きやすいと思います。
焦らずに(Ease)とは
その人の内面の焦りや、急がなければということから、自由になることを提供する
ー 焦りがなければ、創造できる。急ぐと、破壊される。
ー 自分で考えてもらうことを促すとは、何もしないことこそ、適切なときもある。
焦りから自由になる、解放されることを提供する、どんなやり方があるのか、状況や相手の方によっても異なりますね。創造性の発揮のしどころと思って考えてみるのもありそうです。ある方に、1 on 1を散歩したり、本屋さんで店内を歩きながらやってみるというアイディアを伺ったことがあります。職場の環境にもよると思いますが、実は色々とやれることもありそうですね。
人間の手も、握りしめる方が、手を放すよりも、むしろはたらきやすいのではないでしょうか。曹洞宗の開祖、道元禅師の言葉を紹介したいと思います。
放てば手にみてり
手を放すと、そこには何かが入ってくる。こんなことをチームで信じられたら、また違う地平が見えそうです。
本日の問い
ご自身の職場で・・・
考えてもらうことが必要な時、相手の方の焦りを感じますか。
焦りを抱えていそうな方に、どんな言葉をかけられるでしょうか。何ができるでしょうか。
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