別れても好きな人? [短編小説]
またLINEの着信音が鳴った。注文したランチがテーブルに届いたタイミングでだ。送ってきた相手が誰かはわかっている。丸顔で、見るからに人がよさそうな平山輝夫の顔が頭に浮かんだ。こういう勘ははずれたことがない。だから茉優はスマートフォンを見ないで、まずはしっかり昼食を食べることにした。
(昼の休憩時間を狙っているなら、いっそ電話してくればいいのに)
そう思いながらタルタルソースをたっぷりからめた鶏南蛮を頬張る。なぜか夏の終わり頃になると、無性に鶏南蛮が食べたくなった。食欲の秋