選ばれない人生はいつまで
全てを賭けて挑んだ挑戦は、一通のメールであっさりと消えた。
終わってしまえば呆気ない夢だった。
この挑戦に賭ける心情は、今週末に東京宝塚劇場で千秋楽を迎える花組公演「アウグストゥス」で瀬戸かずやが演じるアントニウスに重なるものがあった。
アントニウスは貴族の身分のない兵士でありながら、ローマの英雄と讃えられるカエサルの腹心まで上り詰め、その後継者と目されるほどの存在になる。
アントニウスが何も持たない所から成り上がり、王になる夢を見たように、私も美容という煌びやかな世界から程遠いスーパーの従業員でありながら、美容家になり自分の人生を取り戻したいと夢を見た。
三次面接(最終選考)のため、服や靴、鞄に化粧品、眉毛サロン、新幹線代などで10万円以上も投資したが、着飾っただけで私自身にはいつだって価値などなかった。
アントニウスのセリフに「俺は確かに夢を見た」というニュアンスのものがあったが、私もまさに同じ気持ちだ。
アントニウスの歌う「欲望の夢」が好きなのだが、歌詞に以下のものがある。
目覚めれば 夢は幻
ならば俺は微睡み続ける
俺が望む夢の中を
叶うならば私も夢に浸り、現実の悲しみから逃れて生きたい。しかしアントニウスのように、自らの命を断つこともできない。待たずとも明日は必ずやって来る。
今日も仕事、明日も仕事。体力と共に心にも疲弊が重なり蝕まれていく毎日。社会人とはこういうものなのだろうか。何度も訪れた人生を放棄したいターンが、再び始まる音がする。
応援してくれた人への申し訳なさと悔しさで涙が溢れながらも、感情をどこにもぶつけることができず、こうしてnoteに書いている。
とりあえず人手不足の職場を休む訳にはいかないので、明日をなんとか乗り切って、
日曜日、最愛の推しである瀬戸かずやことあきらの最後の男役姿を見届けなくてはならない。
私は今の歯車人生を抜け出す日が来るのだろうか。結婚などに頼らず、自分で強く生きていきたいだけなのに。
涙と鼻水で顔面ぐちゃぐちゃになりながら書き殴ったこの文章が、せめて
辛いのは自分だけじゃない
と誰かに感じさせられたらと願う。
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