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「浦安鉄筋家族」この非常時にヘビースモーカードラマとは、やはりテレビ東京は友達だ!

先月まで「コタキ兄弟と四苦八苦」を放送していた、ドラマ24の枠で始まったドラマ「浦安鉄筋家族」。週刊少年チャンピオン連載の、アナーキー極まりない浜岡賢次原作のギャグ漫画を、ヨーロッパ企画の上田誠が脚本を担当し、佐藤二朗、水野美紀、岸井ゆきの、本多力、坂田利夫、染谷将太という、豪華キャストでのドラマ化。

とりあえず、刑事ドラマの張り込みシーンでも、タバコなど使えなくなった昨今なのに、何本タバコ使うんだとばかりに、煙モクモクのドラマとは、あまりにも挑戦的。そして、この舞台ではないが、東京では、この4月から「受動喫煙防止条例」なるものが施工され、完全にタバコNG時代に入りつつある、この時に、このドラマとはタイミングが良すぎる。

その上、巷の非常事態では、喫煙は致死率が上がるとばかり言われているのに、本当にこのドラマ大丈夫か?と心配してしまう。深夜なら、どこまで許されるかの実験行為でもあるが、無事、最後まで制作、放映できることを祈る。エンターテインメントでは不謹慎など、嗤い飛ばしてナンボである。

そもそも、今の状況でゴールデンタイムのドラマはことごとく制作が滞り、放映が伸びているわけである。深夜帯のドラマは、少しイレギュラーなスケジュールと、小回りが効くので、なんとか放映できているのだろう。とにかく、新しいコンテンツが減っている中で、このアナーキーなドラマは是非、最高にぶっ飛んで欲しいのだ。

そんな、危惧感はそっちのけで、先に書いたキャストの皆さんは、初回から覚醒して演技している。深夜にこんなもの見たら、眠れねーだろう!と思うくらいテンション高め。ただ、あまりにもニコチン臭いのが強烈すぎる。

舞台は、一昔前なら赤塚不二夫が描きそうな、ちょっと異次元の家族。この夫婦で、よくもまあ、こんなに子供作ったね、と思わせる感じも同じ。そして、みんな勝手なことやりながらも、家族が好きという変態な感じは、やはりタバコ以上に中毒性を持つ。上田脚本は、やはり、少し舞台的になるのだが、キャストの演技の大きさで、十分、テレビの画角をはみ出しているので、成功と言っていいのだろう。

「コタキ〜」の残り香のように、滝藤賢一がタクシーの客として出てくるのも嬉しいところ。ファミレスの店員役の松井玲奈も、すっかりこのテンションに乗せられている。この演技の中にいると、かなりの疲労感だろうと思わせるが、それが心地よく視聴者が感じられるのは良いことだと思う。

まずは、佐藤の禁煙話からの、家族紹介というところ。ディズニーランドを「夢の国」と表し、多分、最後までその姿形も見せられないのだろうが、逆に昔ながらの浦安モードなら、この家族はありゆると思わせる。当のその地も今は閉園中だから、もっともっと、いじっていただきたい。

鉄筋家族というだけあって、プロレスねた多し。最近思うのだが、プロレスというコンテンツは、ひたすらにテレビ的なもののような気がしてくる。虚構の中の真剣さみたいなものは、プロレスが作ったものであり、それは、テレビができてから今まで、我々がこの箱の中(今は板の中)に求めてきたものなのかもしれないと思う。

このドラマを作るということは、そんなテレビ的な面白さを極限まで作れないかという挑戦なのかもしれない。とにかく、見ていると、部屋がニコチン臭くなりそうではあるが、この有事の中の密やかな楽しみにはなる。そして、時代の変革の間に、過去のテレビコンテンツの最終形が作られているような気もする。自分の中で、乞ご期待というところであります!

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