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「アノニマス(第4話)」誰もが、他人との距離感がわからないのが、ネット社会?

ラスト、香取の相棒であったシム・ウンギョンが生きていることがわかった。このドラマは、彼女をこうしたのもネットが引き起こしたものということなのだろうか?それはそれで楽しみではある。

そう言っても今回の題材は、不倫とストーカー。ネタ的にはあまり面白くもないし、筋書きも、結果的には嫉妬と口で言えないからネットで犯罪を犯してしまったという顛末。凡庸な話だ。

だが、そこにネットによるリークがあったり、マッチングアプリの人間関係のいいかげんさや、危うさがあったり、そこは今風なので、それなりに見ることができた。これからの刑事ドラマはどんどんこういう話になっていくだろう。リアルがそうなのだから…。そして、ストーカーで捕まった犯人が、利用されてしまい、結果、最後に刑事に「他人との距離感がわからない」という言葉を吐く。

この言葉は現代の誰でもがそういう事を思うことががあるのではないか?と思ったりする。昔は、リアルな世界の中で、実際に接する他人に対して、「話するのが苦手」「近寄り難い」「上から目線で嫌だ」というようなことで、距離のとり方が難しいということはよくあった。だが、この実感のある距離感はまだ、どうにかなるものであった気がする(それでも、絶対合わないというのはあっていいと思う)

だが、仕事でもプライベートでも、Eメールのやりとりが始まった時点で他人に対する距離感はどんどん曖昧になってきたのではないか?そこにマナーがない人もいるし、隣に座っている同僚に直接話せないからメールを送るという人も出てくる。そして、SNSやLINEの登場で、最初からタメ口で声かけてきたり、仕事とプライベートがごっちゃになったり、誤配信で秘密がバレて行ったり、もはや誰もが迷うよくわからない領域にきている。

そして、ここに出てくるようなマッチングアプリや出会い系サイトなど、嘘が平気でまかり通る中では人間の距離感などあってないような状態だ。そう、見えない他人と話すということに慣れれば慣れるほど、リアルとの差異がわからなくなる。所詮、ネット内の人間関係は基本ファンタジーと思うことが必要だと思うのだが、都会の孤独な民たちは、そうもいかないのだろう。

そんな世界に、妄想の権化である元アイドルが中毒になっているというのがこの話の面白みでもあった気はするが、残念ながらその辺りはちゃんと描かれていなかった。その役の田中美里には、収録中とかに元アイドルらしさを見せて欲しかった。男たちを惑わせる存在なのだからね…。

今回のドラマは、最初から旦那が全て演じていることは、敏感な人ならすぐわかることだが、それも、不倫とストーカーという別事件に対しパラレルに振られたために真実に対し焦点が合わないということだった。ただ、ネットを使えば、一人二役も簡単だし、こういう状況もどんどん増えていくでしょうね。本当に面倒臭い時代である!

そして、今回も、最後の犯人逮捕の決めては街の監視カメラ。こういう世の中だから、もはやカメラが必要ということはよくわかるが、そろそろ、最初にカメラの線を切ってから犯罪を始めるというのも出てきそうですな。犯罪は、技術革新についていかないとできない時代ということです。

このドラマ、作りは結構凡庸なのだが、テーマとしては、いろんな現代の矛盾や欺瞞があるので、好きである。主演、香取慎吾にもう一つ何か足りない気はするんですけどね…。

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