このオリンピックは記憶されるのか？国民をウィルスから守れていない金目当てのイベントの強行は、糾弾されるべきことではないのか？

日本人は、オリンピックが好きである。というのは、1964年のオリンピックが初の衛星中継で世界に生でテレビ放送が行われた大会であり、その時の記憶がずっとテレビで繰り返し流れ、オリンピックは世界を変え多様な記憶があるからだ。だから、今回の大会前も、首相が「東洋の魔女」とか、洗脳された頭をさらけ出した。そして、始まれば、日々、東京の感染者数は増え、病床も圧迫していくのに、メダリストに電話して、Twitterにそれを発信して喜ぶ。つまり、彼にとってはオリンピックはそういうものなのだ。そういうものなら、観客いなくたっていいだろう。まずは、自分の立場を護ることと、利権をしっかりと護ることだ。

世界の平和を祈って開かれる祭典が、ただのメダルの数の競争になったのは、その東京あたりからのマスコミ報道と、米ソ冷戦の中でスポーツが道具にされていった結果でもある。だから、今回も、メダル数では、中国とアメリカが数を争う。そこに日本がつくのだが、まあ、地元開催としてもメダル取り過ぎの感もある。多分、他の国の選手がしっかりした調整ができなかったり、こんなクソ暑い日本にまいったということだろう。

ただ、無観客で開かれたこの大会、そのメダルの数に比例するような記憶を我々に残し、語られることはあまりないのではないか？大体、テレビ画面の中でしか観ていないのだから、印象は薄い。この会期中に東京は、人流が増えこそしなかった気はするが、普通に流れていた。そして、オリンピックだからといって外人が多くいる雰囲気もなく、オリンピックが日本を盛り上げているとはいえぬ状況が続いた。オリンピックが他の経済を何も動かしていないといってもいい。

その中で、テレビがパラレルワールドのように、他の主要な事件はなるべく語らぬように、オリンピックで「感動した」「勇気づけられた」と告げる。この言い回しも胡散臭い。「元気をもらった」くらいの話なのだ。

とはいえ、今回から種目に加わった、「スケートボード」などの活躍を見て、「私もやりたい」と思う子供たちは多いだろう。その種目の選手たちは、国を超えて喜び合っていた。ちょっと、今までの根性のオリンピックの姿とは違っていた。そう、Xゲームで行われていた競技は、初めから国ではなく自分との勝負なのだ。だからこそ、ビジネス的な面も少し違って見える。この辺は、今回のオリンピックで、「未来をどうするか？」と答えるときに多くの人が、例としてあげていくだろう。

多分、我が国の首相は、昨日の野球の金メダルを嬉しく思い、今日のバスケットボール女子の銀メダルを「新東洋の魔女」とかいうのかもしれない。しかし、オリンピックをそういう目で見る時代は終わっていると思うのだ。全ては、可能性を具現化する選手たちの交流の場なのだ。汚いジジイがそこに入る隙はあってはならない。だから名古屋市長の行為は「汚い」以外の表現はない無礼な行為だったのだ。

そう考えれば、オリンピックは、世界中の人が国を超えて交流し、平和を誓う大会でなくてはならない。だから、そこに観客がいない試合などオリンピックではないのだ。そういう空気感はテレビ画面の向こうから伝わる。とにかく、世界中がパンデミックな世界から抜けられない今、こんな中途半端な形で行われるものはオリンピックではない。まあ、記録としては残るのだろうが、我々の頭の中の記憶としては、とても薄く、すぐに抜けてしまう記憶しか残さなかったといっていいだろう。

多分、半世紀ほど立って、若者たちにそれを聞かれた日本人がどう答えるのかを考えれば、「東京はマスクしなけりゃ歩けなかったのよ」というようなことを話すしかないと思うのだ…。そう、無観客のおかげで、我々国民はオリンピックの当事者にはなりえなかったのだから。当事者の選手とて、試合以外の部分での記憶がないわけである。それは悲しいことだ。

ということで、こういう形で「オリンピック」を開催したことを私は罪であったと思うし、これから開催する予定の「パラリンピック」も中止すべきだと思っている。とにかく、感染拡大に対する試みが何もできていない国で、こんな世界的なイベントをやるという無謀を許したことは、本当に残念でならない。

まだまだ、情報が奔走し、夜明けが見えないパンデミックの状況。まずは、日本の偉い人はそこをなんとかすることに全力を尽くしていただきたい。オリンピックのメダリストたちを集めて祝福するようなことも控えていただきたい。まずは、国がそういう態度でパンデミックを止めるという意識を国民に見せなければ、2021年後半は、本当に悲惨なままに過ぎていくと思います。そして、この状況は2022年の今日にも変化なくつながる恐れがあるし、もっと悪化する恐れもある。

楽観視して、お祭り騒ぎしている場合じゃないのですよ！

（オリンピック閉会前に記す）