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「恋なんて、本気でやってどうするの?(第10話)」今時の恋愛ドラマの帰着点とは?

香椎由宇が広瀬アリスに恋してたという余分な話に、ちょっと最後はほくそ笑んだ。そして、その話し相手が戸塚純貴だというのも、シャレが効いた感じで、なかなかでした。ということで、描かれた3組の恋は無事に成就する方向にまとまって、視聴者は満足というところか。

最初は、広瀬がまだ、男との関係を知らないみたいな話から始まっていたのだが、それは、結果的に男女間の今時の関係みたいなものを導き出すための道具としてであり、性的なつながりと本質的な恋愛感の差別化みたいなのを前に出したかったからだろう。そういう意味で、3組の帰結点は、明確な未来みたいなものを目指して形になっている感じが今時の恋愛ドラマなのかもしれない。

まず、先週に全て帰結してしまった、飯豊まりえと岡山天音。今週は、「Salue」の存続のために働く岡山だけがピックアップされてる感じだったが、それが、二人の仲も示している。だから、最後のフランスにネットを繋ぐ役は彼なのかもしれない。しかし、こんな感じでフランスと日本の距離感も感じさせない時代ではあるのだ。そして、そういう中では、遠距離恋愛がうまく成立する時代でもある。それは、男女間が性的な欲求を満たすだけのものなのか?という試験的な趣もあったりするわけだ。

そして、藤木のフランス行きを自分の言葉で見送った西野七瀬。自分が藤木の下で働くという夢を明確にして、笑顔での空港の別れのシーンはなかなか美しかった。やはり、この人は、端正な美しい笑顔を作れる人なのだから、それを最大限に使える演技ができればいいのだと思う。まだまだ演技的な未熟さはあるが、何より華があるのが、画面上で心地よい。

そう、藤木直人の話については、藤原紀香もなかなか貰い役だった。何度も出てくるわけではないが、藤木を料理人として欲しいという明確なものがあり、それ以外はいらないと綺麗にまとめてあげる、神的な対応。まあ、この人も演技的には特に語るものはないが、こういう役の雰囲気は、今だ健在というところ。藤原紀香は他の女にはできないのよ、という高圧な感じの主張の凄さみたいなものは、なんなのでしょうな。

そして、広瀬。恋愛も、仕事も、自分の思っていたルートから外れて行って、ある意味、自暴自棄になる感じの中、まずは、施設に戻った斉藤に会いにいく。ここでの二人の会話シーンがなかなか秀逸だった。斉藤由貴という役者を私は特に好きではないのだが、こういう若い俳優にヒントを与えるような会話シーンをできる彼女は、貴重なのだろうなと思ったりする。そして、戸塚とのホテルのディナーで、その味で松村北斗を思い出す感じの流れは、脚本的にはうまい。ドラマの中で、舌が感じるような演出だ。それを悟る戸塚とのやりとりが、一気にラストへと弾みをつける。

レストランで食事の後、公園で距離を離して、松村に「好きだ」と言わせる広瀬。そう、この距離感を声の大きさで縮めてみろとでもいう感じが綺麗だった。そして、最後に松村の父に彼女を紹介するときに、松村はパートナーという言葉を使う。それは、永遠に彼女と同志でいたいという感覚なのだろう。そう、男女の役割がクロスオーバーしていく今、こういう雰囲気で男女が寄り添っていくのが一番と、脚本家は言いたいのかもしれない。

とにかくも、ルーティンを踏んだ恋愛ドラマに見えて、結構、今時のそれだなと思わせてくれたドラマだった。このドラマを10年後に見たときに、私たちは、この関係性をどう見るのだろうか?そういうのも、恋愛ドラマの楽しみ方だったりすると思う。

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