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「たとえあなたを忘れても(第5話)」記憶が戻り、そこから何が始まるのか?

正直、ドラマの中盤で萩原利久の記憶が戻るとは思っていなかったので、ある意味意外な展開と言える。とはいえ、母と子の久々のわかり合った再会は感動的であった。そこで語られる「ただいま」という言葉にすごい重みがあることは視聴者に強い感動をもたらしたわけだが、ここからがこのドラマの本番にも見える。そう、過去のある現実に戻された萩原がいかに自己のアイデンティティを取り戻すのかというところに話はフォーカスしていくのだろう。

今回は、先週、階段のところで過去の悲惨な記憶が蘇り、萩原が逃げ出したところから。そこで動転する堀田真由であり、危機感を感じる岡田結実。そして、この回の半分程度が岡田と萩原の高校時代の回想シーンに当てられる。岡田も萩原も、まだ高校生姿に違和感がないのはドラマとしてもうまく過去と現在が交わる感じで良かったと思う。

アパートでお隣さん同士の二人。岡田は、萩原の家で繰り返される父親のDVと思われる暴力現場を案じていた。小さい頃は家族一緒に旅行もして、父親も優しかったのにという思いを短時間の中にうまくまとめていた。そして、高校時代にバレンタインで岡田は萩原にチョコを渡し、「好きだ」というが、萩原にその気はなかったという記憶。そして、階段で父親と共に落ちた萩原は記憶を失ったというこのドラマの原点みたいな部分も語られる。

そして、記憶がない萩原に岡田がそのチョコの話をして、萩原はOKをしたと嘘をつく。結果的にはそれは嘘だったと岡田は萩原に話すのだが、それからずっと萩原を見守り続ける岡田の思いはなかなか刹那い。そこで、出てくる堀田だったということ。だから、岡田には堀田に対する嫉妬心もまだあるわけで、それがここから後半にどうドラマ的に影響を与えるのか?

そんな岡田の話を聞き、子供の時に旅行した淡路島にいるのではと足を伸ばす、堀田と岡田。そして、商店街に置いてあるピアノを堀田が弾くところに萩原が現れるというシチュエーションは良いのだが、ここはもう少し堀田と萩原のシーンとして作って欲しかった気はした。確かに岡田が萩原に声をかけて元の時間に戻るという考え方は間違ってない気はするが、このドラマが萩原と堀田のラブストーリーとして描かれるなら、この描き方には違和感があるということ。

とはいえ、この後に、最初に書いた萩原の母親である壇れいの元への帰還という感動のシーンがあるわけで、そちらが先ということだろう・・。

そして、萩原は堀田との会話の中で、堀田との最初の出会いも覚えていた。まあ、脳の中の記憶が不規則的に残ってるということだろうが、この最初の記憶があるということは、やはり、このドラマは「ボーイ・ミーツ・ガール」の話であり、美しくこれから展開していって欲しい気はする。ドラマの最後にクリスマスが出てくるかはわからないが、年末のそんな空気感にあまり悲しいのは嫌ですよね。とにかくもここからの展開は少し怖いが楽しみな感じではあります。


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