「転職の魔王様(第10話)」小芝が成田の命の恩人だという話は必要か?
成田凌が大阪支社設立の準備で大阪に行き、小芝風花は初めて一人で案件を任されることに。そこに現れたのは、専業主婦の妻(大西礼芳)に愚痴を言われ、収入を2倍にしたいという高橋光臣。かなり無理がある話ではあったが、そんな転職物語の中で語られる、成田と小芝が初めて知り合った日の話は意外だった。
成田が事故に遭って自暴自棄になっていた時に、小芝は新入社員で成田が階段で倒れたところに遭遇し、救った話。成田は命の恩人を忘れていないで、それもあって、最初は彼女の会社に乗り込んでまで助けたのですね。成田は素直ではないが、心根はしっかりしている。言葉がスッと出ないだけの優しい人間だということが、この話で明確になる。
小芝は、普通に優しい人間で他人が困っていると助けずにはいられない人。だからこそ、すれ違いのように助けた人間は多く、一期一会の中で成田の顔はそれほど印象的ではなかったのだろう。もちろん、落ち込んだ人間の顔は印象に残らないのもあるし、成田は役としてもそういう芝居をしている。そういう意味で、成田の芝居がなかなか良かった。
しかし、人の縁とは、リアルな中でもこういう事が多い。人と人とが交錯して、言葉を交わすということは宇宙の采配なのではないかと思うことはよくある。それは、嫌な人に出くわすことでもだ。全ては、個々の人生の肥やしになっていくわけだが、考えれば、転職エージェントというのも縁を取り持つ仕事であり、そういうことを考えられる人がやるべき仕事だったりもするのでしょうね。
しかし、成田とは対照的に、小芝のそこでの笑顔が印象的だった。よく考えれば、彼女のように素直に皆が幸せになれる笑顔を作れる女優さんも少ないのかもしれない。それが彼女が今、女優として伸びてると思える理由でもあるだろう。このドラマでは、常に他人のためにうまく転職を紹介できなくて、落ち込んで、考えて、最後は笑顔になる連続だが、彼女がこの役をやることで、転職エージェントも悪くないなと思えるところがいいところなのだろう。
今回の話は、高橋の転職で希望通りに内定が出たものの、奥様の大西がそれを知った途端に反対したという話になる。つまり、問題は夫と妻がお互いに、特に夫が妻や子供の気持ちをわかっていなかったという問題だったのだ。小芝も、そんなコンテキストを考えずに、ただ高橋の希望に合わせて転職を紹介しただけだったということだ。実際、ビジネスの中で自分のメリットをうまく活かせないということは多いと思う。そして、そういう経験の中で小芝が成長する図はなかなか興味深いところである。そして、成田もそんな彼女に影響を受けているのもわかる。
さあ、今夜、最終回。小芝の成長のドラマでの終着点はどんなところになるのでしょうか?
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