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「さらば、佳き日(第8話)」愛することを素直に受け入れる結末。それが今の世の中なのか?

山下美月は、もっともっと良い女優さんになっていくような気がする。佇まいが美しいと言える。ある意味、こういう静かな恋物語の中で有機的に演技できることは特筆すべきであろう。そして、もう一人、山下の友人役の加藤小夏。彼女の恋物語も、幼なじみがゲイであったりして成就しないままに終わったが、そんな寂しげな表情が本当に美しい女優さんだと思った。この二人の存在感だけで、このドラマは私の記憶に残るものになった。

まあ、このnoteの反応を見ても、見ている人がまず少ないドラマであるのは勿体無い。まあ、山下のファンは見て、鈴木仁に嫉妬してる感じはわかるが・・。先週の浴衣姿も良かったが、今週のお見合い用のドレスもなかなか彼女を美しく見せていた。あくまでも、山下は美少女だ。だが、「舞いあがれ」でもそうだったが、不憫な美人役が似合う。それは、ある意味、線が細いからだろう。でも、すごく力強い表情の演技ができる人だ。そういう意味では、少し不幸な現代娘役をやらせたら、今、彼女が一番かもしれない。まだまだ成長が期待できる逸材だと私は思う。

兄妹の恋物語の結末は、谷まりあが描いた、人魚姫の話のように、二人は永遠に一緒に暮らすような結末になっていた。それが、ドラマ最初の二人で引越しするシークエンスに繋がる。まあ、こんな恋愛は昔からあるだろう。だいたい、いまだにいとこ同士で結婚しても、子供に色々害が出るというようなことが言われるわけで、ドラマで小沢真珠が言うように、「悍ましい」と言うところから抜けることはなかなかないだろう。そして、ここの二人のようにプラトニックのままに一緒に暮らすというスタンスもわかりにくいというところなのかもしれない。とはいえ、同性愛がそれなりに許されるようになった時代、こういうマイノリティもあることは、皆が理解すべきだとは思う。

そう、ここで描かれる二人の愛情はセックスに至ってはいない。鈴木仁にしても、優しすぎて、そう言う性的な対象として山下を見ているわけではないだろう。そう、一緒に存在することが心地よいわけだ。だから、鈴木や山下が個々にどうしたいか?という答えに流れる。それでいいのだろう。こういう問題を一刀両断で切り捨てていい時代ではないのだ。

鈴木を愛していた伊藤あさひは、福岡に転勤になることで、鈴木への思いを断ち切る。まあ、男同士の愛など、私にはよくわからないがまだそのくらいの価値観でしか、一般には見られていないと思う。だいたい、ここでは伊藤の片思いだしね・・。私がボーイズラブを普通に見られることは死ぬまでないと思う。そして、それがいけないこととは思っていない。

ある意味、このドラマ、最後はそれなりのハッピーエンドなわけで、物足りない感じもするが、「そっとしといてあげればいいのでは」と考えれば、こういう終わり方でいいのでしょう。好きな人と一緒にいられることが一番ですよね・・・。

しかし、女優さんが綺麗に描けているドラマはやはりいいですね。

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