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「セクシー田中さん(第9話)」恋愛発展途上者の、意識の奥底の恋心みたいな・・・

最終回前、恋愛に関して経験が少ない二人が、その気持ちの本質に戸惑うという回である。こういう図式は今まで、何度も描かれていたものではあるが、40歳に至る女と歳下の男の構図っていうものが、現代では珍しくない中で、その恋心が彼らにとって初めて感じる気持ちに描かれるのが新しいところ。そして、それを木南晴夏と毎熊克哉がなかなかうまく演じている。

流れとしては、この二人がクリスマスのショータイムで共演している画が浮かんではくるわけだが、そこに至る道はなかなか遠いというところを見せるために導入された、お見合い相手の朝倉あき。最初から、「生理痛」などという毎熊が全く理解していないところからデートが始まる感じが面白い。そして、どちらかといえば、毎熊の好きな映画を見たり、毎熊の家で一緒に料理をしたり、毎熊の趣味主導で動くところが、木南に惹かれて色々初めてのことを始める彼とは対照的ではある。途中、スーパーの買い出しで木南とすれ違うところはドキドキしたが、ちゃんと交わらないことが、二人の恋の位置だったりするわけだろう。こういう演出が不必要に見えて、すごく生きているドラマでもある。

そして、毎熊自体も、朝倉の容姿で付き合い初めているわけだが、彼女を体験することで、木南の良さみたいなものを再発見してしまう流れ。心が木南を常に思い出して動く様がうまく出せていた。ここから、この彼をどのように、朝倉から離れさせ、木南に向かうように戻すかは、興味深いところである。

そして、一方の木南も、その見合いのことを聞かされ、今まで通りに世の中の状況として受け流してみるが、時に毎熊との回想が流れてくる。そして、パーティーの共演の代わりをやろうか?と安田顕が声をかけ、キスをしようとすると、すぐに拒むことになる。もはや、安田よりも毎熊が気になる体質になってしまっている木南もうまく表現されているわけだ。しかし、こういうウブな恋愛話をベリーダンスという情熱的なものに絡めて描くって、この原作書いた人、なかなかいい目の付け所ですよね。その原作の主役のキャラを木南と毎熊に演じさせたのもヒット。なかなか新しい恋愛劇に昇華されてますよ。

そして、その二人の前に生見愛瑠と前田公輝のカップルが誕生するのもなかなか可愛い感じ。ここも、恋愛の仕方を変えてくるのは前田の方であり、それは、木南に影響された生見だからであるわけだ。この周囲での木南晴夏の影響力が大きなことがよくわかる。昨今はいろんなドラマが、昔は少し変わったキャラであり、あくまでも端役のものを主人公に仕立てて話を紡いでいってる気がする。時代は、作られた大きな流行の波よりも個性にあるということなのだろう。そう、皆が自分に正直に生きて、ベストな相手を見つけ結ばれる世の中になりたいという思いなのかもしれない。そんなことを考えながら最終回、楽しみにしております。

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