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「あたりのキッチン!(第10話)」一つ一つの工程を丁寧にやれば、料理は美味しくなる

思いもよらないラストでしたね。試験の前は「丁寧にやれば何とかなる」と思ったのでしょうが、今ひとつなコミュニケーション能力の低さが全てを狂わせたのかな?試験の様子を見せずにこのラストに持っていくのも、ドラマとしてはなかなかのうまさだと思います。そして、ここに至るまでに、今回はなかなか濃厚な1時間でした。

まずは、前回のラストの続き、渡部篤郎が、桜田ひよりをここで働かせ続けることはできないという話から。そして、前に出てきたレシピのちらし寿司を作る。それは、桜田の舌の記憶にあるものだった。そして、桜田の亡くなった父と渡部が同じ場所で料理を修行していたことを聞かされる。ただ、桜田が生まれ一緒に母親が亡くなったために、その道を諦めざるを得なかったという話。だからこそ、桜田にはちゃんとしたお店で修行して欲しいという話で、前回出てきた子供のいる料亭で働くための試験を受けることにする桜田。

この辺り、親の縁が結びつけたみたいな話は引き込まれるし、この後で桜田が渡部から日本料理の蘊蓄から習うところはなかなか興味ぶかかった。日本料理にまつわる数字の話、そして、陰陽の使い分けみたいなこと。こういう蘊蓄を一般の学習で教えてもいいとは思うのだが、そういうのは科学的ではないとか言って今の一般教育では全く無視されてるところはありますよね。でも、今は「風の時代」。こういう蘊蓄は皆、昔の人の教訓みたいなものから出来上がってるわけで、日本の重要な心の資産なわけで、蔑ろにする時代は終わったかと私は思います。私自身、ちょっと、日本料理の思想を学んでみたくなりました。

そして、この桜田の試験と渡部の息子の受験の話がシンクロしていく流れもよかったですね。そして、3人で作るメンチカツも美味しそうでありました。最初に出てきたちらし寿司や、鯛を使った料理もそうですが、料理題材のドラマは、美味しそうな料理の画と美味しそうな顔があってうまく回るもので、その点は満点ですな。そして、その美味しさの向こうに作る人の丁寧な仕事があるという話が最後にありましたが、全ての仕事に通じるお話。ありがたく承りました。そう、このドラマ、脚本も丁寧で、その視聴者に伝えたい主旨もわかりやすいのがいいです。

そんな優しいドラマでも、桜田ひよりを簡単に失望させる感じに持っていくのは、その向こうに全く違う視点からの未来を見せるということでしょうか?最後まで、美味しく、優しいドラマとして完結していただきたいと思います。

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