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「秘密をもった少年たち」ただの吸血鬼ものというよりはマイノリティの生き残りの物語か?

チーフィディレクターを中田秀夫が務めるホラーテイストの物語。ということで、ファンタジー的なシーンはなかなか迫力があり、見ていて襲われる恐怖感的なものは見事に表現してある。深夜ドラマとしては面白い題材。

その題材の主役は「夜行」と呼ばれる、陽に当たると燃え尽きてなくなってしまう者たち。その時に人の血を吸えば命が繋がるが、噛まれて血を吸われた人間は「夜行」になるというもの。そして、夜行は夜行の血を吸う事もできるし、血を吸われたり、怪我したりした傷跡を残さずに再生できるのが夜行。

まずは、主人公(佐藤海音)が、昔の友人(大原優乃)に出会うところから始まる。佐藤は、大原がいなくなる前に仲良くしていたが、大原の家の窓の外で、大原が寝ている時に、男に噛みつかれてるシーンに出会う。それ以来、大原は佐藤の前から姿を消す。

そして、大原が突然現れる。その次の日、佐藤が路上で歌ってる時にまた現れる大原。彼女を慌ててつけていくと、仮面を被った男たちが大原を捕まえようとしていた。それを助ける佐藤だったが、そこで「夜行」という言葉を初めて聞く。そして、朝日が出てきて、狂ったようになった大原が突然に佐藤に噛みついてくる。

そして、病院のベッドにいる佐藤というシーンまで、説明くさくならずに「夜行」の生態を視聴者に見せていく流れはなかなかうまかった。そして、夜行が噛み付く時の狂った感じの異次元もよくできていた。ドラマの初動として、なかなか興味をそそられるのは素敵だ。

ヒロインと言っていいだろう大原優乃。深夜ドラマにはよく出てくるが、そのトランジスタグラマーな身体と幼い雰囲気の顔、なんとも言えぬ声を持って、彼女しかできない役を勝ち取ってきている気がする。こういうアニメ的要素の多い役にはぴったりである。彼女が噛みついてくるシーンはなんともエロティックである。

そして、佐藤は「夜行」になるわけだが、病院に誰が運んだかは不明。そして運ばれたのは「夜行専用病棟」だという説明。一気に話がワープした感じになったが、このドラマで大事なのは、夜行の仲間をそろえて何かと戦うというようなところなのだろう。そこに一気に初回でうまく持っていったという感じの脚本だった。

流れとしては佐藤が夜行のバンドのメンバーとして活動しながら、夜行を滅ぼそうというメンバーと闘いがあって、その向こうに何が見えてくるか?という感じのドラマらしい。そして、マイノリティの苦痛を描くことでそこに社会の被差別者たちへの提言までできるようなら面白いだろうとは思う。初回をみて、気になるドラマではあった。

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