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「夫婦の秘密(第10話)」結局は主人公が自分が好きだという花であることで起こる災いだった?

確かに花という奴らにはいろんな生き方のものがある。一人で立派に根を張って生きてるものもいれば、他の植物に寄生して生きているものもある。そして、種を宙にばら撒いて生き続けるものもある。どんな生き方をしても花は花。咲いて美しさを競うように人の目には見えるかもしれない。

そんな話を人間社会自体に当てはめて考えてみれば、所詮、人は一人一人が自分の生き方を選択し花を咲かそうとしているのかもしれない。だから、ここに描かれることは妄想だけでは済まされない。現代人のストレスフルな中には実際にこうやって人を殺めながらもひっそりと生き続ける花があるのかもしれない。日本の警察は優秀だとかよく言われたが、そんな優秀な警察が必要か?と考える節もあるのではないか?つまり、人間が本能のままに生きることが許されるようなスポットがあっても良い。

そんなことを最後に考えさせられたが、主演の臼田あさ美は、最後に死んだはずの豊田裕大に「穂花ちゃんは、自分が一番好きだものね」と言われる。そう、そう言う人間は多いし、そういう人も他人に迷惑をかけなければ問題ないが、ここの臼田は多くの周囲を巻き込んでいくことで生きていくある意味、寄生花である。だから、最後は、ずっと彼女を遠目で愛していた山下幸輝に寄生する。いや、されるのか?というか、この山下の過去だけがよくわからないのは解せないところ。臼田の空気に触れてそれに自分を同化できるような人間は、何かを持っているはずだ。

あと、最後まで臼田の狂言回し的な役割でしかなかった剛力彩芽。結果的には、臼田のせいで二人の人間を殺めることになる。そして、ある意味その危うさに服従し、臼田の名を名乗り水商売に転身する末路。そこに豊田の友人の古川毅が尋ねてはくるが、その二人に幸せは見えない。そう、過去は戻ってこない。

そう、このドラマは何も完了してないし、何も変化させていない。ずっと、サスペンスフルに穴掘りシーンが見せられてきたが、最後には埋められたものも埋めたものも後味は良くないし、警察というものが一切出てこないという中で、それぞれの思いは勝手にあまり大きな未来も示さない。

でも、現代の中で「生きる」ということが、こんな袋小路の中を彷徨ってるような事象は結構な数あるだろう。宮本真希の娘の大月美果里が豊田のことを「同じ匂いがする」的なことを言い出す。そう、匂いで人が惹かれ合うのは事実だが、それで幸せなことも不幸なことも起こったりする。そんな、世の中のバランスが崩れ、その雪崩が止まらない感じを描いたドラマだったのだろうとは思う。ある意味、これだけ作家性の強いものはBSだからできるのだと思うが、それなりに面白くはあった。地上波のドラマがどちらかといえば子供っぽくなってる感じがするから尚更だろう。

臼田あさ美の悪女ぶり、最高でした!

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