見出し画像

「アノニマス(第3話)」正義感の曖昧なネット世界。リアル感のない他人。

今回も、香取慎吾が過去に、同僚を失ったシーンから始まった。多分、このバディを失った過去が、関水渚との捜査の中で今後シンクロしていくのだろう。関水の若くうざったい感じは、そのためにあるということを感じる。

そして、今回の本題の最初は、刑事とは思えない、モンスターピアレント化したMEGUMIが事件への枕を勤める。MEGUMIという女優さんも小池栄子とともに、最近はテレビドラマでは重宝される人になった。グラビアやっていたことには考えられないことだったが、本当に俳優の未来というものも予測できないと思う。(褒めています)

今回は、ホームレス殺人から始まって、それを晒された少年と親の昔ながらの人を上下でしか評価できない人の話。そして、それをよく思わない教師(ここがモンスターピアレンツにかかってくるが)の書き込みで話が増幅していく話だ。それ自体は珍しくない

香取慎吾の心は、どちらかと言えば、古臭い正義を信じる刑事だ。そのコンテクストとして、徹底的なアナログのデザインがされている。今回気づいたが、デスクの上のSONYのラジカセは、象徴的に存在している。そのデスクの周囲で話す関水が、どんどんその変わった世界に引き込まれていくような感じは面白い。彼女には理解できないが、回が重なるにつれ、リスペクトが生じてくるのが興味深い。前も書いたが、こんな刑事がネット内の指犯罪を処理できるはずはないが…。

そして、今回は最後に加害者と思われる男の帽子から、街のカメラを全て確認する話が出てくる。まず、そこに至るのに、所轄がグループLINEで繋がっているというのは、少しいただけない。警察がそんなスカスカな中で情報共有してはいけないと思う。そういう。細かい適当感はこのドラマに目立つ。

そして、全てのカメラを調べるという段階で、他人に任せようとするチームメンバー。「自分たちはネットの中で調査すればいい」という安易さが、こういう昔ながらのコツコツをやらない方向に心を向ける。この事象は別のドラマ「レッドアイズ」にも出てきた。ただ、データが明確にある以上調べるべきなのだ。そして、昔の足で稼ぐことに比べれば、データがある分楽だということだ。あの、3億円事件なども、今の街のカメラ環境などがあれば、すぐに捕まったのではないだろうか?

デジタルは、便利にデータ(証拠やアリバイ)を残すが、それを実際に有効に活用するのは、人間であり、そのアナログ能力を侮ってはならない。そして、デジタルを使えば使うほど、アナログ力は上がっていくと私は思う。だから、昨今まで、いや今もよく存在する「俺はアナログ人間だ」などという人は、デジタル人間よりアナログ力は劣っていくことを知らない。そう考えると、香取に言われて部下が動くのは、本当はおかしいことだ。

ラスト、香取と少年である犯人が対峙して、人の命の価値をするところはなかなか香取の芝居がよかった。ホームレスだろうと、一人の人としての人生がある。それを人と思わず殺したことを反省していない少年に強く釘を刺す。そこに立ち会う、紺野まひるの芝居もなかなかよかった。

あと、このドラマ捜査していたロケ地は宇都宮でしたね。多分、こういうロケも都心では難しくて遠方まで言っているんでしょうね。大変だなと思ってしまいました。

3話にきて、香取の芝居がなかなか勢いが出てきたのは、今後も楽しみである。ドラマの端々にいい加減さはあるが、今描くべき内容なのは興味深いところ。

今回、最後に田中要次が突然現れ「届け物があるよ!」と言って去って行ったのは、なんなのか?こういう最後はテレビドラマとしては良いですよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?