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「ジャパニーズスタイル」視聴者が、観客として直に観ているドラマという懐かしいスタイルをどう活かしていくか?

脚本、金子茂樹というだけで観たくなったドラマ?昨年は「コントが始まるという傑作を残した彼だが、そのコントの部分だけで30分という感じのドラマ?結果的には、面白かったし、先に何があるのかは未知なところが興味深い。

基本、旅館のロビーのセットだけが用意され、そこで舞台劇のように芝居が繰り広げられる。そして、観客の笑いがわざとらしく入る。そして、市川実日子が、最初に「ルーシー」と名乗った時点で、これは、「ルーシーショー」か?と思った高齢者は多いだろう。そして、とどめで仲野太賀の恋人だった女の名前も「ルーシー」。まあ、そのままですね。

そこで、そこそこのギャラの俳優たちが真面目に?コントを繰り広げる。この空気感は、「コントが始まる」のコントシーンとほぼ同じである。まあ、仲野が主役のせいはあるのだが「帰ってきたマクベス」的なドラマである。

当然ながら、30分、芝居をし続ける感じはなかなか観ている方にも持久力がいる。途中で牛のおしっこの水風船を投げるシーンが挿入されているから、完全な舞台劇ではない。ということは、古臭いスタイルで新しいものを作ろうとしていることなのだろう。仲野太賀ファンにはたまらない企画という感じはする。

まずは1回目、この舞台の旅館の息子の仲野が帰ってくるが、長い月日の末に、自分の知っている実家ではなくなっていて、中に入れてもらえるまでをくどくど30分の中に詰め込む。彼を知っていたのは、長年住み着いた柄本明だけ。まあ、この二人だけで、かなり濃厚になる。

そして、仲野の部屋に住み着いてるという市川とのやりとりはなかなかテンション高め。市川が部屋に飾ってある、仲野の高校時代のバレーボール部の写真に言及する。写真が全く提示されないのに、視聴者側は完全にその写真をイメージできる。そして、何の説明もないままに仲野はリベロにされている。まあ、ユニフォームの違いはあるとは思うが、仲野の背丈からみて、ストライカーはないだろうと誰もが感じるということなのだろう。こういうところ、最小限の説明で世界を広げて行く脚本はなかなか華麗である。

そして、少し見直したのは、仲居頭役の檀れい。この人のお芝居は、今ひとつ個性を感じないのだが、こういうコント的なものができる引き出しもあったのね!というところ。結構、楽しそうに演じているのは、印象的だった。あと、ただの変態としか思えない、石崎ひゅーいだが、赤塚不二夫的なキャラですな。こういうの突っ込むのも、ある意味懐かしさを感じるのですよ。

これから、菅田将暉も出てくる予定のようだが、どこまで内容を広げ、破壊して行く感じなのかは楽しみだ。ラストクレジットで、このドラマ、観客を入れて演じてるのがバラされるが、観客の笑いとかは本物じゃないですよね?皆、マスクしてるから多分「声出さないで」と言われてますよね。そうすることで、「ルーシーショー」的なものがうまく作れるということなのかもしれませんね。

とにかくも、結構、この先期待できる作品?ではあります。というか、テレビ番組の復活は、こういう公開番組と視聴者参加番組にあると私は思ってるのですよね、そういう意味で新時代に斬り込めるドラマになればと思ったりします。

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