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「グレイトギフト(第3話)」毒を盛って人を殺した手で人を救う医者という図式

「ギフト」を作った真犯人がわからぬままに、人の悪意だけが増幅し、それが止まることをやめぬままに、他人に伝播していく。山崎豊子が「白い巨塔」を書いて以来、病院という隔離された利権の巣窟は、心ある人間を死神に変化させるところになっているということなのだろうか?それは、現在の国会にも言える。自民党の裏金問題は、その金額がマスコミ上で踊るのに対し、当事者は「人を殺した訳じゃないんだから」という感じの受け方である。もはや、この国の利権者たちは、利権を持った瞬間に、悪魔になる試験でもあるのではないかと思うくらいだ・・。そういう意味で、このドラマ、そんな医者の本心みたいなものをどのように扱い、結果を出していくのかはすごく興味深い。

今日も、一人、今度は他の病院の理事長の西岡徳馬が殺された。その前に、心臓外科医の津田健次郎が佐々木が殺人をやったことを察知し、反町から「ギフト」のことを聞き出す。そして、西岡がターゲットになりそうだから監視しろとゴルフ場に反町を同伴させる流れ。佐々木が先に帰ったことで安心しているところでワインに仕込んだギフトで西岡が倒れる。津田は佐々木とグルになっていたのだ。利権を愛する医者には同じムジナが寄り付くということなのだろう。反町はその現場に居合わせ、顕微鏡でギフトの消える変化も確認させられる。

しかし、西岡徳馬。この役をよく受けましたね。それは、初回に殺された坂東彌十郎にも言えることだが、ただのパワハラ男の演技と死ぬ演技しかさせてもらっていない。まあ、そういう著名な演技者を殺すことで「ギフト」の威力を視聴者に知らしめることにはなってるが・・。

その後に、反町の妻(明日海りお)の手術が行われ、無謀なやり方ながら佐々木のそれは成功。ただ、そこで「ギフト」の培養から手を引くはずだった反町は裏切られる。その時点で、彼は妻の命を型に取られ、「ギフト」の培養をするだけの教授になったということだ。この辺りの反町のダメ男の演技はなかなか真に迫っていていい。それに対する佐々木の冷酷な演技もあってのことだが、ラストの自殺に流れるような空気感はよく出ていた。

そして、最後にその自殺行為を止める波瑠。彼女が反町を追いかけてクラブに来た時にもわかるが、彼女がクラブで働く女たちとは一線を引くような演技をしていることは確かで、この役は波瑠しかできないと思わせるところは興味深く、それは、反町を同じ空気感を出すということだったのだなということが、ラストで反町の自殺を止めることでわかる。そして、彼女は真犯人ではなく、反町に好意を持っているだけだということがわかる。ここで、反町は確かな味方を得たをいうことなのだろう。

次回は、「ギフト」が外部にも広がる感じらしい。ある意味、こんなものが悪者の手に渡ったら世の中は混乱するばかりなのだが・・。いや、これを持ったものは皆、悪者になる。そして、現実的に世界ではこんなウィルスが研究されているのかもしれない。そんなこと考え始めたら、怖くて水も飲めなくなるのがこのドラマであり、それが面白いということだ。

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