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「罠の戦争(第8話)」罠の掛け合いの末の崩壊の序曲

片平なぎさが、息子の起こした事件の謝罪をし、大臣どころか議員も辞めると言い出して、事が公になり、岸部一徳が描いていたものが崩壊し出すというラストであった。

今回の話は、先週から続く、片平の息子、味方良介の話の決着。草彅の息子が目を覚ましたことにより、味方がその病室に謝罪に訪れる。そして、片平とそこで対峙することで、片平は総理への道を諦め、辞職の道を選んだということ。こういう絵図をドラマで見せられると、やはり、永田町で生き残るのは妖怪のみとも思えてくる。

しかし、息子役の味方良介、なかなかの熱演であった。まあ、泣けば熱演かという人もいるかもしれないが、先週の無機質な彼の登場から、彼の本当の気持ちを吐露するまでの時間があって、あの告白に及んだところでの有機的な芝居が印象的だった。まだまだ彼、いろんな役が回ってきそうだが、こういう少し影がある役が合ってる気はする。

そして、草彅の復讐は、直接の加害者から、それを隠蔽させた幹事長の岸部一徳に絞られ、何かしらの弱みを引き出そうとする。そして、幹事長にベッタリと思われた小澤征悦も、幹事長を降ろすことに手を貸してくれることに。そして、幹事長の息子が裏金を流した帳簿を手に入れ、幹事長を脅すが、岸部は「それは偽物だ」という。罠がかけられる前に手を打っておいたということだろう。そして、草彅は、記者の宮澤エマが撮った、岸部の体調不良を示す写真を提示し脅すが、そんなことで挫ける岸部でもなく、草彅の選挙の時の金の受け渡しを暴露し、草彅を逆に窮地に落とすという図式。

あくまでも、このドラマは政界のバカし合いを、「こんなのでいいの?」と言いたいのだろう。この辺りは特に目新しいドラマでもなく、見ている方は、そんなものだろうという感じでもある。だが、そんな問答をやっているところに片平の辞職を起こし、シナリオを一つ崩す。ここで、特質すべきは、現状の内閣でこんなに清らかに辞任する大臣はいないし、議員辞職などするものもいない。それをしたら只の人になるわけで、それを乗り越えられると思っている政治家はいないというのが事実なのだろう。ここでの片平は傷があるわけで、理想の政治家像ではないが、この身の引き方は格好いいと脚本的は訴えてくる。

特に与党議員はただの人柱であり、覚悟がないと自分の意思での行動などできないわけだ。そう考えると、最初の本田博太郎などを辞職に追い込むのは簡単だったということだ。この片平の辞職において、ドラマは確実に今の政権の議員たちを批判していいる。

そして、傍で、岸部をよく思っていない総理の高橋克典が草彅をうまく利用しようと模索し始める。草彅はどんな罠をかけて、自分の正義?を守るのか。あと、二回だろうから、もう一山、罠の掛け合いが行われるはずである。ここまで、ドラマ的にはさほど新しさはないが、よくまとまった現代政治事情みたいなものは描けている。ラスト、視聴者に激しく爆弾的な理想像を投げかけてほしい気はする。

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