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「アノニマス(第6話)」ネットに集まる人々は利用されるだけの世の中で良いのか?

アノニマスという人物から促されて、ネットを騒がせ、自分の復讐と加害者に犯罪を明らかにさせていくという流れ。こういう事件の話は、昔の刑事ドラマにもよくあった話のような気がする。このドラマ、ネットによる犯罪という視点だが、裏返せば、今までも存在していた事件が、ネット社会の中でどう変化しているのか?という部分がテーマなのかもしれない。一つ一つのドラマ自体は新しくもないし、そこに潜む、人間の感情も新しいものではない。ただ、ネットを使うことで大騒ぎが起こすことができるということが問題なのだと言われている感じではある。

いわゆる、ネット界隈の流行りをで一般の人が「バズる」というわけだが、それは、嘘とか本当とかは関係なく、人がネット内で一気に集まってくることである。確かにこのドラマで表現されているように、街を歩いている人がスマフォの向こうの出来事に勝手に反応する時代である。世界は、一般人のファンタジーの中で勝手に動く。そこを利用して、プロモートが行われる時代であり、テレビの視聴率でさえ、そこを頼っていたりもする。そして、警察という保安組織も、そこを無視することはできない。人個々人が電通のような大手広告代理店的な考え方になっていったら、どうなるのか?恐ろしさを感じる。

ということで、今回は指事件対策室の清水尋也が、裏サイトの情報を、警察として裏も取らずに警察のSNS にあげてしまうという話が出てくる。警察でさえ、ネット内で動いているうちに、自分が実際に現場で捜査している気になることもわかる。とにかくも、世の中全てがネットと関わって、真実と虚構が混在している社会。そして、虚構の方が多いのではないかと思われる社会なのである。そう、事件は現場で起こっているのだが、捜査は会議室でやっているのかもしれない。「踊る大捜査線」の時代とは違う警察社会になっている気がする。そう考えると、今一度、こんな混沌とした社会で青島刑事の活躍もみたくなったりもするw

そんな中で今回の話。野球部の怨恨と、性暴力の怨恨による監禁事件。その監禁現場は「レッドアイズ」で描いているものと似ている。この辺りは演出陣のイメージの貧困を感じたりもする。大体、こんな形で拉致監禁殺人があることもないだろう。わかりやすいが、もう少し考えた方が良い。

ドラマ全体としては、ネットの勝手な発信に対し、警察は対処できていない。そんな中で、香取の「感」で物事が解決されていく様は、昔のドラマ風であり、この辺りがこのドラマの今ひとつ面白みにかけるところなのだろうと思う。意外に新しさがないのだ。まあ、拉致監禁の先に性暴力事件があったというのが脚本としてのひねりなのだろうが、それもそれほど驚かない感じ。

ネット社会は人間の理性の上に成立しているはずなわけだが、その前提を多くの人が理解しないで使っている。そのために今までに思いもよらないような犯罪が起こる。私的にはそういう観点から書き上げたドラマが見てみたいのだが、どうもそこには至っていないのがこのシリーズだ。そして、香取慎吾の使い方が今ひとつというのはファンも思うことではないか?来週から最終章らしい。書きたかった顛末ということになるのだろう。色々と期待はしたいのだが…。


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