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「TOKYO MER~走る緊急救命室~(第9話)」人の過去でレッテルを貼るということが、いまだにドラマになるという虚しさ

このドラマは、総じて言えば、医療ドラマではなく、政治ドラマだということなのだろう。人の命を守る組織を作ること、そしてその組織が活躍することは政治的な力をしめすということだ。ここの都知事である石田ゆり子は、自分の命と引き換えに置き土産を残したかったということなのだろう。

そういう、ある面から見たらスタンドプレーは、敵にしたら「潰すしかない」。私たち国民は、昨今、常にこういう、自分の生活には関係ない戦争の結果として苦渋しか味わっていない気がする。だから、ドラマくらいは、そこのところをひっくり返して欲しいと思うわけだ。

多分、そこの葛藤を賀来賢人演じる官僚が演じているわけだが、その最後の望みの綱が切れたのが今回のラスト。賀来が完全に敵になった段階で、その上司の鶴見辰吾は、姑息な手を使って、鈴木の妹から鈴木の過去を聞き出し、リークする。これで、石田の手柄はなくなり、自分たちの立場も守れるというわけだ。実際こういうことは、今のウィルス対策でもさまざまにあることだと思う。だから、毎日出てくる情報にフィルターがかかっていることは確かだ。自分の身は自分で守るしかないし、自分の信念は他人にとやかく言えるものでもない。だが、マスコミを中心に死者に対しては言いたい放題なのが現実。このドラマの起点はそんなところにあるのだろう。

今回は、大使館の中での事故という、かなりナイーブな話。治外法権の場所で何か問題を起こせばMERがどうこうよりは、国際問題になるということ。その事故が起きた段階で石田が倒れたことで、なお厄介なことになる。最後には、大臣の渡辺真起子がMERの拠点に参上。余計なことをするなと念を押すが、室長の橋本さとしは、大使の許可をとったと嘘をついてMERを動かす。そこに倒れているのが多分大使自身だという直感だけで…。

そして、中に入って救助を行っていた鈴木と要潤は絶体絶命。いつものようにタイムリミットギリギリで助かるわけだ。そして、今回は要潤が瀕死に陥る。まあ、同じような現場を何度も繰り返す感じは、あまりドラマ的には工夫がない気がするが、こういうサスペンスチックな表現がこのドラマの真骨頂なわけで、それでいいのだろう。

そして、賀来は、渡辺と鶴見に嵌められ、先に書いたように、鈴木のテロリストを助けての逮捕歴がマスコミに晒されて今回は終了。その、マスコミが何も確認せずにアリがたかるようにすぐに餌に食いつく様はよく表現されているとは思う。

ここから、テロリストが動き出し、鈴木自身がいかに動くのか?という最終章という感じなのか?公安も別働隊として動く感じでしょうから、まあここからが描きたい本当の部分がわかってくるということなのでしょうね。

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