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「366日(第6話)」夢を終わりにするものと、夢を始めるものと・・。

かなり早いペースで眞栄田郷敦の記憶が戻ってきている。今期の記憶喪失ドラマの中では一番、最初に元の生活に戻っていきそうな感じ。そんな中で、眞栄田と広瀬アリスの恋物語は徐々に再開されそうにも見えるが、まだ広瀬に心が落ち着かない綱啓永がいたりする。しかし、恋の記憶というのは日常に使う脳とは別の部分なのだろうか?ここで、眞栄田が女性に対し全くときめきは感じていないようだが、これは、「心」はどこにある?という質問に似ているのかもしれない。

とはいえ、眞栄田の周辺には、以前から好意を持っていた風な看護師の夏子もいる。この辺のキャラまである程度わかりやすいように描いているのは脚本のうまさだろう。そして、綱のフィアンセの高田里穂の広瀬に対するジェラシーみたいなものも明確に描いてるのは、今後の混沌に繋がっていくのだろう。

そして、もう少し劇的に描かれるのかと思っていた野球を続けていた坂東龍汰の引退話は、意外にさらりと描かれていった。打撃よりも守備で魅せるという流れは、女性脚本家の描き方としてはなかなか渋いと思った。昨今は、「下剋上球児」もそうだったが女性の脚本家がしっかりと野球を描けることが普通になり、時代も本当に変わってきたなと思ったりもする。

とにかくも、坂東も人生がリセットされた感じ。そして、広瀬も前に断っていたクラリネットの講師をやる気になる。これらは、眞栄田が目を覚まして、一生懸命に今になれようとしているのを見たからだろう。そういう意味では、こういう人の困難も、いろんなことを皆に想起させるということだろう。そう、このドラマは、明らかに青春のやり直しがテーマであり。それがあった366日のことを描いているわけだ。

そして、田舎で店を手伝うというはずだった眞栄田は、自分の会社に戻りたいという。これは「くるり」の生見愛瑠と同じようなルートですね。でも、それって、「くるり」を見てもわかるように、結構うまくはいかないのでしょうね。組織の中の記憶喪失はいろんな意味で、人と人との関係を結ぶ上での塩梅が必要で、その上、競争社会のの中では、同僚は優しくはないと思う。そう、よく会社は家族みたいにいう人がいるが、そんな会社はまずないし、そういう意思でビジネスをやるとうまくいかないということも多い。そういうのを考えると、東京でというか、都市部の会社で働くことは本当に難しいし、そこに柔らかさを求めても無理なことがわかってくる。

次回予告では、眞栄田がキッチンカーのあるようなところで働いているが、記憶がなくなってそういう商売をやるのは、「たとえあなたを忘れても」の萩原利久のような役に重なりますよね。このドラマは、眞栄田にどんなオリジナリティーを与えていくのか、楽しみではあります。


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