「アンチヒーロー(第10話)」結局は正義というものは創られるものだということか・・。
ラスト、疲れ果てた野村萬斎の汚い肌のメイクが印象的であった。虚飾の中で正義を守ってきたものが、事をひっくり返されると復帰不能の状態になるというのは、そういうものだろう。だから、私は小池百合子が偽学士であることを認め、この世のものとも思えない怖い表情になる日が楽しみでならない。本当に利権を持った嘘つきはこの国からいなくなって欲しいと思う。
で、前回は、岩田剛典の殺しの証拠のジャンパーを長谷川博己が持っていたということで逮捕される。その証拠を野村萬斎のところに持って行ったのは大島優子。大島が裏切る意味がわからないから、これは長谷川の仕掛けなのはわかった。彼が法廷に引っ張り出され、別件の検事の不始末を明確にしようとしたということ。だいたい思った通りの筋書きだった。大島にその役をやらせたのは、彼女が一番感情的にならないからだろう。そう、芝居的には、この役をちゃんとやり抜く大島はやはり安定した演技力を持っている。
そして、木村佳乃も長谷川と共闘していたというのは、気づかなかった。彼女が決して野村にべったりとも思えない部分はあったが、長谷川の悪口的なことも言っていたし、ここは騙された。
とはいえ、大事なビデオの証拠を壊され、その上で、毒物の記載がおかしいというところに気づいたのはいいが、長谷川が本物とするものも、偽物とするものも捏造していたとは、ちょっと、後味悪いかな・・。まあ、こういう流れの中でそういうことが現実にも起こっているのだろう。そして、証拠というのは本当らしく作れば作れるということなのかもしれない。そして、裏付けをしっかりしないと、曖昧なものはバレるということは初回の公判で見せつけてるわけであるわけで、かなり危うい事をやっているのだ。まあ、検事や弁護士が嘘をつくわけがないという基点にある限り、私たちはこういうことに騙されちゃいますよね。
そして、判事を負われた神野美鈴も、緒方直人の冤罪についての可能性を述べる。実際にこんな判事はいないだろう。多くの判事が冤罪に関して墓場まで持って行ってしまってると思う。そう、司法の世界というのは、バランスを崩さない限り、結構な嘘が罷り通っているということなわけだ。
そして、長谷川が北村匠海に言う。人間には2種類しかいないと、「真実と向き合う者と、そこから目を背ける者」だと言うことだ。そう、嘘も、マスコミをうまく使い綺麗に流布すれば真実らしくなることはよくある。だが、それは真実ではない。事実を隠したフィクションだ。小池百合子などは、そのフィクションの中に棲む人だ。それを応援する人間もまた同じ。事実を隠蔽して、自分が真実だという者ほど、醜いものはないのだが、この世にはそう言う人が多いのだ。そう、政治をフィクションにしてはならないし、司法も同じだ。
最後に、長谷川は留置場から出られないでいるのは、彼がアンチヒーローだからなのだが、こんな勇気ある検事はなかなかいないだろう。
そして、緒方直人の再審決定。このドラマのゴールはここだったわけですね。緒方の娘役を演じた伊藤華、最後もいい演技でした。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?