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「コタキ兄弟と四苦八苦」十二苦を眺め。世の中、苦だらけだけど、それが楽しいという事かも?

一、怨憎会苦  二、求不得苦  三、曠夫受苦  四、死苦     五、愚慮弄苦  六、世間縛苦  七、病苦    八、五蘊盛苦    九、増上慢苦  十、老苦    十一、生苦  十二、愛別離苦

これが「コタキ兄弟と四苦八苦」で並べられた、「苦」である。そう、いくら貧富の差はあるにしても、人が生きる上での苦行の数はあまり変わらないよう感じる。この話も貧乏な三人の話であるが、金持ちも何人か出てくる。死に至る樋口可南子やタワマンの住人などである。人というのは、生まれるところから死ぬまで苦行の連続だというのをこのドラマのテーマ?と考えれば、よくできた12章であろう。

そして、「レンタルおやじ」という現代的な主題が、家族の崩壊や、シングルマザー、離婚、マイノリティーの悩みなど、に絡みつき、まさに2020年に作られるべきドラマだったと言えるのだと思う。乃木亜紀子脚本は、いつも以上に自由に現代を捉えていた気もする。拍手!

そして、最終回、本当の妹を兄妹ごっこで送り出す二人。その切なさがこのドラマの括りに相応しかったのか?結局、日本的な人情話の現代的な展開なのだが、それが見ていて安心な気もした。日本人を感じる時間である。

「全ての道はローマに続く」という言葉が印象的だが、現在、そのローマの地は厳戒態勢である。そう、続いていたローマも、そこは幸福だけではないということを言わんとしている状況なのかもしれない。

そして、「感染苦」を皆で受け入れなくてはいけない状況の中で、このドラマが放送されたことも何かの縁である気がしてきた。ただ、今の生き方としては、お調子者の二郎ではなく、全てを深く考えすぎる一郎の方が生き残る確率は高いであろう。そう、このドラマ始まったときは、二郎派だった私もそう思うのだから、人間の「苦」など移り気なものなのである。

とにかく、古舘寛治、滝藤賢一、そして芳根京子のやりとりは、自然に兄弟のようで心地よかった。「レンタルおやじ」を必要とする現代というものを具現化し、様々な過去を、見ているものに想起させる感じは、深夜帯のドラマならではのなせる技でもある。

ある意味、この苦行12章、今後も経典の如く、見続けられる作品になるのだろうか?(そんなことはないね)

乃木亜紀子脚本は、次はTBS金曜ドラマ「NIU404」である。綾野剛、星野源主演の警察バディものであるので、かなりテイストが違うが、バディという点では同じか?性格の違う男同士の会話を書ける彼女はもはや無敵の感もある。とにかく、楽しみである。

しかし、この三ヶ月で世の中の空気は一変している。つまり今日、四苦八苦していても、明日は道が開けてくることもあるということだ。このドラマはそんな希望を持たせていただいた気もする。Thank you !


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