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「当確師」選挙というゲームの虚しさを年末に見せられる辛さ。

「日本は民主主義の国である」などと、簡単にいう人もどんどん少なくなっているのだろう。特に今年は、コロナ禍で、何もできない政治家たちが浮き彫りになり、逃げる首相がいるは、全く舵取りのできない首相が生まれるは、日本は大混乱なわけだ。そして、ずーっと思っていることだが、彼らが全て選挙で選ばれていることを不思議に思ったりもする。なんで、日本人はバカが好きなのか?そんな問の答えがこのドラマということか?

真山仁の原作のドラマ化。主演を香川照之にしたことで、このドラマの成功は決まったと言っていいだろう。見方によっては、何をやらしても同じような演技と思う人がいるとは思うが、こういう表と裏で二重に動くような役をやらせたら、日本で現在、彼に勝つものはいないだろう。そして、期待通りの演技でなかなか締まった作品になっていた。

冒頭で、選挙に勝った風景を描くのを簡単に描いているのは効果的。買収シーンらしきものを記者に撮らせて、相手陣営を仲間割れさせ、勝利を勝ち取る。こういう仕事ですということをわかりやすく示す。

そして、本番の選挙。候補者の選定から始まり、勝つ見込みのない相手に勝つ方法が描かれる。最後は、大量の票を持つグループを見事に寝返らせるところで勝利を勝ち取るのだが、こういうことが、日本のあちこちで行われていると思うと、皆が政治には関心無くなっていくのは当たり前である。

選挙をビジネスとして請け負うことが悪いこととは言わないが、こういう策略で選挙というものが動く限り、政治が国民のために行われることはないと思ってしまうのは私だけか?

とはいえ、ドラマでこういうのを見せることで考えるのは良いことだろう。感想に戻る。

最後に選挙を勝つ候補者の役は壇れい。ある意味、ぴったりな感じがした。役者としては、ある意味あざとさを感じる人だからだ。政治家の見えすいた芝居を演じるみたいな風景には見事に嵌っていた。そして、最後に総理を目指すと言い放つところも、「なんだこの女?」と思わせるところも、政治家役向きである。ここでは適役だが、私は、こういう芝居が好きではない。

そして、その檀の昔の友人だが友人ではないという役の奥貫薫。いつもは、脇の方にいる役者さんだが、ここではなかなか迫力ある市長夫人を演じていた。こういう演技もできるから、脇で重宝されるのでしょうね。

香川照之は、味方も騙しての仕事を、見事に演じきる。選挙屋としてのプライドみたいなものだけで動くマシンであり、その裏に人情などない。不正を見つけてうまく道具にしたり、相手に塩を送るように見せる攻撃も見事。つまり、庶民がどういう事象に心を動かすかということを基本として事を動かす。ある意味、選挙屋という商売は、心理学者だ。多くの心をどうやって動かすか?そういう雰囲気は香川には見えにくいのは、このドラマの欠点かもしれない。だが、香川はそんなことを視聴者に考えさせない演技でまとめるので、面白いのだ。

観終わった後に、結局、日本の選挙の多くはこういう選挙屋が作っていると考えると、虚しさもあった。民主主義など形で感じられなくなった日本、そして政策が金でしか動かせない、いや、金が動かせても実態を変えられない現状が、こういう選挙のあり方にあるのだろうとも思う。

特に、今年は政治家が何もできずに感染症を増殖させただけに見えるだけに、年末にこういうのを見せられるのも、なかなか辛いものがある。

そういえば、このドラマの舞台は2020年の設定になってるけど、誰もマスクしないなら、そんな時代設定入れなければいいのにと思ったのですが、どうなんでしょうか?今後、2020年というアイコンはパンデミックを表すものになるはずです。こういうところ注意して欲しいです。


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