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「未来への10カウント(第7話)」暴力事件で停滞する部活という、勿体無い事象

今ひとつ、ラストに向けて見るものを熱くするような設定がなされていないようだ。だいたい、村上虹郎を入れたのは、ボクシングシーンをもっと熱く描くためではなかったのか?その村上を試合に出さず、その末に、今回のラストでは、ボクシングのできない身体にしてしまうとは、脚本家はボクシングを使って何を描きたいのか?村上の家族が今回出てきたが、ここも壊れているわけで、いろんなものの再生が描きたいのはわかる。ボクシングドラマなど、それしかないとも言える。あと、山田杏奈や佐久本宝などの、キャラクターをちゃんと描いてきたのだから、それをちゃんと生かしてラストに向けてほしい。

だいたい、今回の暴力事件の顛末は、昔の学園ドラマにもよくあるような話。確かにボクシングをやってるものが拳を日常に使ってはならいということはわかるが、それと、いじめ事件を結びつけて、ボクシング部と村上を窮地に落としたって、何も面白いことはない気がするのだ。これは、ドラマの勢いを停滞するだけの回。そして、これでは、視聴者はついてこない。そう、最後に村上の復帰に反対するような気持ちで、視聴者はドラマを去っていくのではないか?

また、ここにきて、木村の焼き鳥屋の店長の復帰話が持ち上がるのも、何か解せない。また、彼らの試合前に木村拓哉らしく去っていく設定か?そして、影から彼らの活躍を見るみたいな。そういう、なんか、ラストへ向けての辻褄合わせみたいなものをドラマの中に放り込みすぎである。

そして、満島との恋愛話も、勝手に満島だけが盛り上がっているわけですよね。まあ、これは、ボクサーはストイックだということなのでしょうが、前回の波瑠のそっくりさんの話もいまいち中途半端に終わって、木村がそれで過去の精算ができたわけではないですしね。こちらも、ドラマ的には上手く動かせてはいない。

全体を通して、木村の心は少しづつ変化しているということはわかるが、どうも周辺のドラマとのバランスが悪いし、ボクシングの使い方も上手くない。そして、今回のような暴力事件に対する、学校側の対応も紋切り型すぎる気がするし、結果的にいじめの加害者は責められないままに終わり、その対処もしていない。脚本家がこれを書き進めていって、不自然に感じないのがもう一つわからないところ。脚本家が一流なだけに解せない。

ラストに向けて、皆の気持ちが一旦バラバラになるのはよくある設定だ。だが、それを修復させるには、すごいパワーを持ったドラマが必要になる。その辺りが書けるようには見えないことが、すごくもどかしい終盤である。

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