見出し画像

「アノニマス (第2話)」これから、さらに複雑化するネット内のいざこざが見えてくる

最後に、香取慎吾が「過去は消せないが、未来は書くことができる」的なセリフを言って締めるが、それは事実だが、ネット内に残った過去は完全に消すことができないのが現代である。それを、恐ろしく感じさせるドラマには仕上がっていると思う。

写真の組み合わせの間違った投稿から始まり、ポルノ出演の過去、当事者の生活全てに襲ってくる炎上風景、オレオレ詐欺に巻き込まれた過去など、現在の複雑な消せないネット社会が脚本の中にうまく書き込まれていると思う。

「人の噂も75日」というセリフがあったが、今は、一瞬の軽い噂なら、炎上の寿命は10日くらいな気もする。人に刺激を与えようとする虚言が多すぎるのだ。しかし、ネット内の書き込みはそんな簡単に消えない。

ここに出てくるような、その炎上を促す文章を投稿して食っている人もいることは確かだし、そこで書かれたテキストはネットの端にこびりついている。多分、この周辺には、しのぎが無くなった反社会勢力もあると思う。昨日見た映画「ヤクザと家族」で、勢力を失ったヤクザは、ネットも使えずに薬売買に戻っているという風景があった。ヤクザもネットを使えなければ、生活できない時代だ。

ここに出てくる、無理やり撮られたポルノもその一つだろう。もはやこの国の女性のポルノ出演比率は年々増えているように思われる。それは、昔のエロ本のような寂しげな風景ではないし、ビデオが出てきたときのエキセントリックな感覚でもない。もはや、日常のSEX撮影が、気軽にネットの中に蔓延している。毎日、こういう撮影が日本のどこかで行われていると思うと、もはや、それが犯罪につながらないということの方が不自然だ。

この回で当事者は会社からかなり護られている。これは、なかなかリアルにはなかなか成立しないだろう。今や、コロナ禍もあり、経済的にも一人でも人減らししたい組織がほとんどだ。そんな中で、会社の負のスパイラルの起因になる社員がいたら、まあ庇うことはしないと思う。

とにかくも、このネットの通信が蔓延する世の中で、私たちは、どこでどう自分を護ればいいのか?という時代なのだ。当たり前のように、人々の行動は街のカメラに撮られているし、有る事無い事が、ネットに流れ、それが人の口で増幅して、本当の意味がわからなくなる。「なんて世の中なんだ?」ということだ。

テレビという、マスな情報を流す会社がこういうドラマを作ることは、結構勇気がいることだと思う。自らのリテラシーを見直すことが必要だからだ。このドラマも、テレビ東京だからできる題材だったりもするのかもしれない。

そういう点では面白いのだが、主演の香取慎吾が、ネット機器を一切使えないキャラなのは、やはり違和感がある。そんな人が、この世界を認識するのは不可能だろう。そして、子犬のようにキャンキャンする関水渚のウザイ感じももう少し抑えられないのか?そんな、基本的な欠陥があるのだが、ドラマとしては結構興味深い。

毎回、香取の過去の事件が出てくる。これが、ラストにつながってくるのだろうが、その描き方や内容にも注目というところか?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?