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「日曜の夜ぐらいは...」冴えない日常からの脱出ドラマ?岡田惠和の描く優しさの行方

岡田惠和の連ドラは、昨年の「ファイトソング」以来。今回も初回においてかなりの安定感がある。ドラマは、全く違う地域に住み、違った境遇の今ひとつ現実の生活に不満のある三人が出会い、それぞれに交錯する中でどんな化学反応を起こし、未来に向かっていくのか?というところか?

ある意味、この初回をみて、私と似たような暮らし、みたいに思う人も多いのだろう。そう、岡田脚本は、日常のすぐ隣みたいなのを描くのが実にうまい。今回も、主役となる3人のキャラを初回で見事にわからしているし、観ていて、それぞれにそれなりにサポートしてやりたくな感じがたまらなく良い。そう、観ている方が、何か優しくなっていく感じが私が岡田脚本が好きな理由だったりする。

主人公三人の実年齢は、清野菜名(28)、岸井ゆきの(31)、生見愛瑠(21)である。生見が少し若いが、ドラマ的には20代後半の女子3人が出会い、それぞれに影響し合うみたいな話だろう。それぞれに働く場所が、ファミレス、タクシー運転手、ちくわぶ工場、というなかなか結びつかない3つの職業というのも面白い。

そして、清野は車椅子で介護が必要な母、和久井映見と暮らし、生見は祖母の宮本信子と二人で暮らすという、自由が効きにくい状態。岸井は一人暮らしで、とても孤独な感じがうまく表現されている。この三人をどういう魔術で出会わせるか?というのが今回の話。

テレビ朝日、先週から「波よ聞いてくれ」というラジオ舞台のドラマが始まっているが、ここでもラジオリスナーの遠足ということで、ラジオをうまく使っていたりする。昔はこういうのよくありましたが、最近もあるのでしょうか?昨今はネットのオフ会とかいうものがありますが、こういうのはラジオのオフ会ですね。でも、実際にラジオのリスナーって、清野みたいにリアルではあまり目立ちたがらない人が多かったりするわけで、なかなかこのテンションは私も難しそうには見えた。群れるのが嫌でラジオに縋ってる人は多いが、ここに馴染むのは難しいですよね。

だからこそ、清野のキャラをうまく変化させるためにこういう舞台を用意したということなのでしょう。彼女が、写真に撮られた自分の笑顔を見て、「もっと楽しまなきゃ」となるのは、色々考えさせられるが、そんなこともあるよねと思ったりさせられた。

そして、バスで別れるときにLINEの交換を拒否する清野。だんだん、みんなから連絡が来なくなるのが嫌だというのは、確かによくある話だし、生きていて思うのは、本当に縁ある人は、また唐突に出会ったりするのですよ。多分、このドラマはそういう縁の方で繋ぐのでしょうね・・。

そう、縁があるから、皆がコンビニで一番高いアイスを探し出す。全く違う世界の中に似たようなものたちがどう交錯して、何を起こすのか?初回を見ただけで、どんな優しさがそこに詰まってくるか楽しみである。

突飛な発想や、ファンタジックなテレビドラマが増える中で、岡田惠和の作品は、真摯に現実に真向かう感じがとても好きだったりします。

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