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「クロサギ(第9話)」銀行と政治家と刑事と詐欺師と、求めるのは正義か?私欲か?

最終回前、平野が警察に擦り寄っていたりして、佐々木蔵之介を逮捕するために警察も動くが、結果的には上に圧力がかかり、証拠を持っていると平野に言った山田キヌヲは殺されてしまう。それをやったのは中村ゆりのようだった。つまり、佐々木、平野、三浦友和の三つ巴の食い合いが始まっているわけだ。その中で、十分に戦える平野は、詐欺師としては一流になったということなのだろう。佐々木蔵之介と対峙するときの、特殊メイクにやる気を見せているのは、ドラマとしてなかなかの高揚感があった。

しかし、資金源があるにしろ、平野が50億を用意できるのは、夢物語な気もする。そして、この大掛かりな詐欺行為をしっかりとした参謀がいない中でやるのは、かなりの無理がある。「コンフィデンスマンJP」の仕掛けを見慣れてしまっている我々には、ちょっと、あり得ないですよね。まあ、コミック世界だからこれで良いのだろうが・・・。そう、ファンタジー臭が思いの外強いところがこのドラマの欠点ではある。

だが、佐々木と総理を狙う政治家役の秋山菜津子が、現金を前にほくそ笑む姿は、ファンタジーとは思えない。そう、今や日本は、兵器を買うために増税宣言しているが、その先に岸田文雄のこういう顔もあるかもしれないと思うのは私だけではないだろう。安倍、菅と、とんでもない輩が総理をやった後で、少しはマシな人間に見えた、岸田が一番糞だったという展開は、この詐欺師話に似ていたりもする・・・。本当に、この国策の裏には醜い銀行屋も絡んでいるのだろうか?

そして、最終回を前に黒島結菜が誘拐されてしまう。誰の仕業?佐々木?三浦?どちらにしての、所在の知れない平野を誘き出すための餌であるのだろう。感情的なものを餌にしてなんとかしようとするのは、あまり綺麗ではない。そういう意味では、ここに大御所たちの焦りみたいなものが見えてくる。

しかし、金が大きく動く向こうにいる男たちは、金に翻弄されている感が見えてくるのが面白い。佐々木蔵之介が欲しいのは大きな利権であり、その高揚感だけなのだろう。そう考えると、こういう金を回すだけのドラマにはあまりコクがない。彼らの生きる感情がスカスカに見えてくるからだ。だから、復讐というフォーカスだけに動く平野の描き方が大事なわけだ。彼が今回のラストで黒島を助けようと追う姿みたいなものが、最終回でどのように描かれていくのは楽しみなところ。

前半の最後の上海の件に対して、かなり面白い状況にはなっているが、世の中は食い合いであるというこの世界を描いて、ドラマとして我々に何を訴えたいのか?ラストシーンに何が見えてくるのか?そんな感じですかね?

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