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「ばらかもん(第9話)」自分の未来を見つめ直した先にあるものは?

最後に「書道家辞めます」と父に言う。その心のありかは今ひとつわからないが、島が彼に教えてくれたものが心を突き動かしたということだろう。そして、島で「先生」と呼ばれることで、自分の本当のアイデンティティを見つけたような感じなのだと私的には理解した。

しかし、今回は杉野が東京に戻り、そこに、なるを連れていくということで、もっと面白いことが起こるのではないかと期待したが、ソレほどでもなかったですな。彼女の野生的なものが東京の人を色々に笑顔にする感じがもっと欲しかったのもあるし、彼女がちゃんと東京のあちこちを見物できなかったのは可哀想な気もした。そこが見たかったのが本音だ。

そんな中で、お茶をこぼして、遠藤憲一の書の心を目覚めさせたのは、確かにグッジョブなのだが、その結果が出てこなかったのは少し寂しいところ。後で、ホテルに飾った姿が出てくるのだろうか?期待したいのだが、所詮、これは親の仕事なわけで、ドラマの本筋とはズレたところにあるわけですよね。

そんなことで、島が出てこなくなるので、荒木飛羽が島に家出してくる。なかなか杉野のように馴染めない荒木が面白くもあるが、ドラマの構成状的な感じであるため、このあたりは、無駄なシーンのように見えてしまった。

そう、今回は杉野が、「東京には戻らない」という宣言をするまでの話だったわけだが、そこに至る見せ方に面白さが感じられなかったし、彼の気持ちの動きがわかりにくかったというところなわけだ。

つまり、このドラマは、五島を舞台に杉野となるが繰り広げるヒューマンドラマなわけで、東京の舞台では描ききれないというところだろう。そして、野生児、なるをもっと暴れさせることで、大人たちが忘れていた感性を取り戻す面白さがないともう一つ、見ていて達成感に欠けるということ。

今回の杉野の書は、なるのシャツに書いた自分の名前だが、そこに重さを感じられないのは残念。彼がソレなりに成長したところで、「書を辞めます」という覚悟がそこにシンクロしていない感じだ。そう、彼が己のアイデンティティをもう一回確認しようとしている熱いシーンができていない。

多分、話的には、もう一度、島に戻ってまた「書」の道に戻っていくような流れになると思うのだが、そこに至るまでの大きな今回のシーンがもう一つインパクトに欠けたのは、まだまだ杉野遥亮の芝居に奥深さがないからなのかもしれない。この役、若者の成長の物語なわけだが、まだその途上にいる杉野にはまだ、そこにシンクロできるまでに至っていないということか?ここから、あと2回だと思うが、クライマックスには期待したい。

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