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「アネット」映画って自由でいいのだけど、もう一つ古臭い気がするんですよね

先週は、レオス・カラックス監督、来日ということで、コアなファンからは、SNSにさまざまな反響が寄せられていた。そして、同じフランス映画(この映画は、ドイツ、ベルギー、日本資本との合作らしいが)なら、「TITANE」を薦めるかたが多かったように思う。「TITANE」がカンヌの作品賞なら、こちらは監督賞を取った作品。そういう意味でも、見比べるのは面白い。しかし、私、洋画に関しては、ここのところ、これで3作連続フランス映画を見ている。ある意味、ハリウッドでは作れないだろう香りの3本だった。そう考えると、さまざまな国の映画を観ることはすごい刺激になると改めて思う次第。

そして、この映画。ミュージカルだ。売り文句にはDARK FANTAGY ROCK OPERAとある。だが、題材は、コメディアンが売れっ子の歌手と結婚し、自分の人気が下降するとともに、仲が悪くなるが、子供が生まれ、修復しようとした船旅で、彼女を殺してしまうという、「土曜ワイド劇場」みたいな話。そして、刑事ドラマになるわけではなく。子供が、光を感じると素晴らしい声で歌うというのを知って、それで商魂逞しく子供をスターにする、いわゆるステージパパになる話。ここでも、もう一人殺し、結局、子供に「パパは殺人者」とバラされて牢の中に入るという、まあ、古臭い話なのだ。この題材でミュージカルにしようと思った監督の意図は、私にはわからない。とはいえ、ミュージカルでなかったら、2時間20分の時間はまず持たないだろう。

そして、観客が気になるのが、この映画にタイトルになっている子供「アネット」のことだ。最初から、人形だ。そこそこの動きはするが、目が動かないから、表情はない。それを子供として芝居をする人々も結構大変。だから、面白いということで、見ていられるというのもある。

でも、この映画、主役のアダム・スナイパーの演技と表情を感じながら、男の女々しさを表現したかったのだろう。私にはそうしか見えなかった。最近では「ハウス・オブ・グッチ」でも、最後に凄い女々しい感じで会社を追われる御曹司の役をやっていたが、何かそういう臭いがするのだろうか?私としては、スター・ウォーズで彼を知り、特徴ある顔だなとは思ったが、そんな闘うイメージではなかなか使われないのですね。今回も、裸で舞台に立つようなコメディアンで、モデルは小島よしおじゃないかと思ってしまった。そして、パンツ一丁になると、長髪の風態は、アンドレ・ザ・ジャイアントを二回り小さくした感じ。まあ、見てくれで、堕ちていく男という雰囲気はよく出ている。

アネットを連れて世界を回る中で、六本木というシーンがあるが、監督の六本木イメージはこんななのでしょうか?ちょっと恥ずかしい感じ。そういうシーンが出てくるかと思えば、産婦人科の医師の役で古舘寛治さんが出てきて、違和感なく、役をこなしているのには驚いた。そう、彼が普通に馴染めるような絵面の映画なのだ。ハリウッド映画だとこうは見えないだろうね。

しかし、フランス映画だが、全編英語。こういう映画は、本国ではどんな捉え方をされるのだろうか?そういう部分が気になったりもする。

そして、この映画、いっさいCGは使っていないという。確かに、船で嵐に会うシーンなど、昔風の絵面だった。そういう雰囲気まで、基本的に新しい感じに作る気はなかったのだろうなと思う。まあ、そういう古い作風にするのも、このデジタル時代の一つの挑戦なのかもしれないが、個人的には、どうでもいい気がする。

そう、ラストで、人形の娘が、人間になり話しかけてくる展開は、人形を使った意味がここで出た感じでしたね。子役の女の子も可愛かったし、結果的には、「アネット」の印象は彼女に転化してクレジットになったという映画でした


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