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「ばらかもん」杉野遥亮連ドラ初主演。五島の自然をバックに繰り広げられるヒューマンドラマ。

宣伝のポスター写真は、杉野遥亮と、子役の宮崎莉里沙の2ショット。これだけで、そういうドラマだろうとは思ったが、宮崎の予想以上の存在感で、なかなか良いドラマに仕上がりそうな予感がする。

原作はヨシノサツキのコミック。舞台は、朝ドラ「舞いあがれ!」の舞台でもあった五島。自然に囲まれたこの地で、若き書道家が覚醒する話なのだろう。この自然と、そこに住む自由な人々に、いろんな影響を与えられながら、人が本来持っている感性を取り戻していく話なのだろう。

書を題材にした話では、昨年の横浜流星の映画「線は、僕を描く」が記憶に新しいが、あの映画は、初めて書に出会った青年がその面白さに目覚める話だった。ここでは、その先にあるハードルを描くということだろう。賞を獲った作品に「お手本のような書だ」と、美術館の館長の田中泯に言われて、腹をたててしまい、父親の遠藤憲一に、頭を冷やしてこいと言われ、五島にやってくる。わかりやすい話だ。

職種は違っても、「Dr.コトー診療所」的な香りもするドラマだ。そして、宮崎をはじめとして、勝手に家に入り込んでくる、村人たち。食事も作ってくれるし、倒れて入院すれば、皆が見舞いに来る。ある意味、島全体が家族の場所なのである。そんな、人間の生活の源流を感じさせる場所で、一回一回、「書」ができてきて、杉野自体が成長していく話なのだろう。

今回は、宮崎と夕陽を見て、一緒に海に飛び込むことになり、その結果「楽」という大きな書ができる。「楽しかった」「ワクワクした」というのは、人間の生きていく上で最も大切なことだと、私は思っている。それを体現し、書になっていく様は、なかなか心地よい。そして、そのワクワクを促す、宮崎の演技は微笑ましい。本当に昨今の子役は、完全に主役を喰ってしまう。そのアウェイで杉野がどんなヒーロー像を演じていくか楽しみである。

そして、最後に、病院の看護師である田中みな実に、謝罪にくるシーンもなかな良かった。都会では、普通に謝罪できない大人たちが最近は多いと思う。他人を傷つけても、そのこと自体が悪いと思っていない感じで暮らしが流れることが多すぎるのだ。それが、この島ではできるというのは、わかりやすい演出である。そして、この前まで、雑誌制作のキャリアウーマン役だった田中。東京にいたことがあるという看護師役。なかなかいい感じだ。着々と演技の幅を広げていくという感じ。アナウンサーというイメージがだんだん弱くなっていきそうである。

あと、最初に杉野と出会う爺さんが花王おさむだったのには驚いた。彼の姿に時間が経ったのだなと思った。そして、島の住人は、少し小綺麗すぎるが、まあ、それなりにバラエティに富んだ面々。夏のドラマとして、「真夏のシンデレラ」に続いて、季節感を一緒に運ぶCXのドラマ。とにかく、期待しましょう!



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