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「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーロー」アクション映画はやはり身体をはって成立する!

ハリウッド映画が、全然やってこない2021年である。そして、日本映画も粒が小さいものしかない感じで、緊急事態宣言下の中、今日の映画館はスカスカだった。ちょうど、この間の緊急事態宣言が開けた時の状態に戻っておりますな。もう「鬼滅の刃」のテレビシリーズを4本ずつまとめて、順番に映画館でかけたほうがいいのではないか?と思ってきた私です。

そんな中、久しぶりに映画を見たいなと思って、色々眺めるが、どうもピントくるものがない中で、「スタントウーマン」という文字に心が止まった。長年、ハリウッドで活躍してきたスタントウーマンの存在のドキュメントだ。84分と短い作りだが、中身は、昨今のドキュメントらしく、カットが多く、止めどなく、証言者の声が流れてくる。そして、そのアクションシーンがいっぱいでてくのか?と思いきや、そうでもない。つまり、スタントシーンというのは、そんなに長いものはなく、一瞬に当事者は、命をかけて取り組んでいるということだ。

まずは、サイレント期のハリウッドの話から始まる。まだ、海のものとも山のものともわからなかった映画界では、女優は自ら危険なシーンを演じていたという。映画は、あくまでも見せものであり、普通でないものを見せて儲けていたということがあるのだろう。そして、そのコンテンツが儲かるとわかってしまうと、男たちが利権をとって、そういう無理な女性のアクションはなくなって行ったという話である。これは、日本だと、最初から女優などいなかったから違うでしょうな。ただ、目玉の松ちゃんの時代から、映画はアクションあってのものだったのは同じだと思う。

老練な元スタントマンの女優として出てくるのは、「ワンダーウーマン」や「チャーリーズエンジェル」で活躍していた女優さん。彼女の口から出てくる話は、実に興味深い。そして、出ている作品の数も、普通の女優より多いだろうから、本当に歴史を感じる。彼女たちは、アカデミー賞の晴れ舞台に立つことなどまずはない、隠れたヒーローであることは間違いない。

やはり、映画のアクションは生身でやることで迫力が出る。最近は、グリーンバック合成で作ってしまうものが多いが、やはり肉体がぶつかりあったり、リアル感漂う、カーチェイスは映画の華だ。だから、こういうスタントガールの存在はいまだ必要とされているのだろう。

そして、出てくる現役のスタントガールも、みんな前向きであり、その仕事が楽しいという表情がたまらなくいい。だが、その仕事には常に危険がつきまとう。やはり、イメージングが大事であり、「だめ」だと思うものは、できないというのもわかりやすい話である。ただ、飛び降りたり、火をつけられたり、叩きつけられたり、人間の限界を目指す彼女たちは美しい。それがよく見えてくるドキュメントに仕上がっている。

そして、過去作品「ジェットローラーコースター」や「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」「インディー・ジョーンズ」などでの事故の話も出てきて興味をそそられる。このドキュメントを見てから、これらの映画を見るとまた違った印象が残るでしょうね。

こういうのを見てしまうと、日本映画の貧相さが、また見えてきてしまう。最近はアクションが必要な映画自体が少なくなっている。反社会的なものを描かなくなったからだろう。高校生の恋愛劇ではスタントウーマンはいらないのだ。スタントウーマンを目指す女子高生の話ならアクション映画になりそうだが、そこに見合う女優もいない気がする。

とにかく、1970年代には、JACというものがあって、志穂美悦子みたいな人もいて、結構、無理な映画作ってたんですよね、今じゃ、作り手自体がすこぶる少なくなってしまった。どうにかならないのか!もっと、アクションしましょうよ!!

このドキュメント、日本の映画作りに勤しむ人々に見ていただきたい。そして、女性アクション監督が日本からもどんどん出てくる時代になって欲しいものだと思った次第です。アフターコロナは、そういうのがどんどん出てくる時代であって欲しいのです!

それなりに知らないことが見られて面白かったです!


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