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2022年映画決算

とりあえず、今、映画館はそこそこの活気を取り戻している。日本の映画興行は、アニメに助けられている状況ではあるが、3年ぶりに途中に臨時閉館ということもなく、1年、映画館を開くことができたわけである。そんな中、シネコンはともかく、ミニシアターの営業自体はなかなかギリギリの状況の中で行われている状態は変わらないと思う。飯田橋ギンレイホールが、移転をするという前提ではあれ、閉館したことで、東京の名画座が、半世紀前と同じところに存在するのは、早稲田松竹くらいだと思われる。まあ、封切館でも、その頃のままにあるのは「丸の内東映会館」のみである。渋谷東映の撤退の話もあった。いずれ、それらも違う形になり、そんな昔の時間に関係なく自由に出入りでき、自由に空いている席で映画を見たような空気感を残す映画館はこれから10年以内に亡くなっていくと私は思う。まだ、フィルム上映できる映画館が残っているのは心強いが、それの良さみたいなものを実感できる人がいなくなればそれも必要なくなるだろう。

パンデミックは、明らかに映画界にも時代の変化をもたらした。テレビドラマ決算の項でも書いたが、映画、ドラマ、配信という枠が日々なくなりつつある。配信のみで映画館でもかけられるようなコンテンツが作られるのは当たり前になったし、それがアカデミー賞にもノミネートされるようになった。デジタルコンテンツの登場で、映画の定義は年々修正されつつあるわけだが、まずは私的には映画館で観たものを映画と定義して今年もいきたいと思う。その定義も来年は、ビデオ鑑賞も含めた中での新作とするかもしれないが・・。もはや、私がそう思うくらい心が揺れている。

ということで、今年映画館で観た新作映画は91本。仕事の合間でよくここまで観られたとは思います。ということで、ベストテンなど無意味と思ってる私ですので、順不同で今年、気に入った作品を並べさせていただきます。

「決戦は日曜日」
この作品、日本の選挙制度、選挙文化というものを茶化した作品だが、こういう作品が作られるような政治をやっていては国が滅びることがよくわかる作品。主演、宮沢りえは、本当にいい演技をするようになりましたね。
「クライマッチョ」
これが、クリント・イーストウッド最後の作品になるかもしれないという危機感もあるが、それでもラストで女の元に走るような映画を撮るクリントは本当に格好いいのです。
「前科者」
保護司という地味な職業を主人公に今の生きにくい世の中を真摯に真向かって描いた作品。先に褒めた宮沢りえの旦那の森田剛の演技が秀逸!
「ウェスト・サイド・ストーリー」
待ちに待ったスピルバーグ監督のリメイク作品。予想を遥かに越えたエンターテインメントに仕上がっていた。私は、旧作よりこちらが好きだ。
「ガンパウダー・ミルクシェイク」
これ、B級アクションなのだが、なかなかの拾い物。日本もこういう撃ち合うだけのエンターテインメント作ればいいのにね。観終わって今年一番気持ちよかったかもしれない。
「流浪の月」
順位はつけないと言いながらも、今年の一作といえば、この作品。こういう他人にわかってもらえない閉塞感の中で生きている人は、今の日本にはとても多いのだと思う。その表現しずらい役を松坂桃李と広瀬すずが熱演。とても沁みる映画に仕上がっていた。
「ハケンアニメ!」
ものつくりの喜び、熱さを知っている人なら誰でもが琴線に引っ掛かるはず。とにかく、ものを作り、それをファンに見てもらうという熱が画面から感じられる作品。吉岡里帆の演技も光った!
「トップガンマーヴェリック」
洋画で今年の一本といったら、これでしょう!やはり、ハリウッドのエンタメはこういうものを作っていただきたいということですよ。トム・クルーズは偉い!
「恋は光」
恋愛劇として、なかなかの新しさを感じました。そして、恋する少女たちの笑顔に癒されました。恋をしたくなる映画ですよね。
「神は見返りを求める」
YouTuberの復讐劇だ。ムロツヨシ、岸井ゆきので、現代の不条理を描くみたいな作品なのだが、それが見事な活劇として昇華していく感じがホラーに展開する見事さ。時代の形を描く傑作
「サバカンSABAKAN」
子供時代の夏休みの日記のような映画。その話の瑞々しさと、大人になってもその時のことがとても重要な時間だったと思える感じの鑑賞後の後味が良かった。
「さかなのこ」
これも、変わった子供時代の映画。さかなくんをモデルにしているが、彼がどうやって好きを仕事にしたかという話である。今年一番笑わせていただいた映画かもしれない
「川っぺりムコリッタ」
生きることとは、飯を食うことなり。という映画なのだろう。久しぶりに荻上直子作品に唸らされた。
「ヘルドッグス」
久しぶりに、日本映画として心地よいアクション映画を見させていただいた。岡田准一の存在感は、映画を作るごとに広がっている感じがする
「マイ・ブロークン・マリコ」
友人の遺骨を持って、旅をしながら、自分の生きる意味、人間の生きる意味のようなものを探しながら歩く永野芽郁。彼女の女優としての大切な1本になった作品と言っていいだろう
「夜明けまでバス停で」
パンデミックの中でバス停で起こった殺人事件を元に、高橋伴明監督が紡いだテロ映画。最後に、私も爆弾を作りたくなる映画である
「アイ・アムまきもと」
洋画のリメイクだが、すごく感動した。主演、阿部サダヲのキャラがすごく良い。他人のために生きるって、こういうことですよね。
「RRR」
インド映画、超大作。3時間を堪能できた。ある意味、映画全体がインド人の心であり、インド人の底力という感じの一本だ。日本は、過去の戦争をこんな感じに描けないよね。
「ラーゲリより愛を込めて」
反戦映画として秀逸であった。特に変わったものを作ろうとはせずに、正攻法に、シベリア抑留を今描けるのは、瀬々敬久監督だけだろう。日本映画は戦争映画を撮り続けることで、日本は戦争しない国のままでいてほしいと思った

こう、書いていくと、今年も多くのことを映画から学ばせていただいた気はする。とはいえ、興行がアニメの収入で成り立ってるというのは、さらに顕著になってきている感じがするのは寂しい限り。ハリウッドも、マーベルやDCのコミック風の映画が多く、新しさを感じるものが少なくなっている。パンデミックにおける製作の中止や、興行の延期などが、いろいろあったが、それも今年でひと段落だろう。ある意味、来年はパンデミックのあった後の映画をどう作るかが試される感じな一年になっていくと思う。そう考えれば、楽しみではある。

今年も多くの映画作品を世に送っていただいた皆様に感謝いたします。

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