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「JKと六法全書(第5話)」裁判員裁判を勝つことは世の中の常識非常識を追求すること?

このドラマ、女子高生が弁護士として法廷に立つということで、ラノベ風のドラマと思って舐めていたら大変。日本の法廷のあり方をなかなか細かく描いていて面白い。司法ドラマというのは内容からして堅苦しくなるので、避けている部分を、主人公が女子高生という柔らかさを逆手にとってちゃんと描いている。

今回のクライアントは、幸澤沙良の高校の先輩で「お助け天使ノノ」とネットで呼ばれている北村優衣。彼女がホストから2000万円騙し取り、殺人未遂と詐欺罪で逮捕されたというもの。まあ、実刑で20年くらいの判決が出るだろう裁判をいかに刑を軽くすることができるかがミソ。そして、この裁判は裁判員裁判だというところをどう使うかが重要なところ。

で、裁判員裁判の裁判員をどうやって決めるのかという場面が出てくるが、なんか、野球のドラフト会議みたいなことやってるんですね。つまり、最初に呼び出された候補に書類を書いてもらい、彼らのうちの誰を裁判員として呼ぶかを検事、弁護士、裁判官で決めていくというもの。裁判をする当事者が納得した裁判員を選んで臨むということなのだが、裁判によって、男を多く選びたいとか女を多く選びたいとかあるのはわかるが、どうやっても、人の心は読めないだろうから、難しい選択になりますよね。調べると、日本のこの制度平成21年に始まったというから、今、施行から15年程度が過ぎたところである。そこで、いろんな問題が起きているはずだが、それがあまり一般人には開示されていないように私は感じる。だいたい、この選抜方法だって知らなかったのだから。それなら、ここに特化した司法ドラマ作っても面白そうですよね。ドラマって、こういう隠れた部分を一般に明確にするためにもあるものだと思うのですよね。

まあ、そんなところから、どうやって加害者の刑を軽くする方向に持っていくかが今回の幸澤の手腕なのだが、だいたい2000万円貢いだホストはいなくなるし、加害者を守るものが見当たらない。で、見つけたのが、彼女が奨学金をもらっていて、それが返せずにいたという事実。その200万円超の額を一括で返せといわれ、こんな感じで堕ちていったことがわかる。そして、目をつけたのが、幸澤に弁護を依頼した北村の元担任。彼が、彼女に奨学金を受けて進学することを勧めたという話を使い、彼女が好きでこの加害者になったのではないということを裁判員を中心に訴えかけることにする。

ある意味、法を超えた感情レベルで裁判員の心象をよくする作戦だ。確かに、この奨学金が学生ローンになってるような問題は世の中でも有名であり、実際にこんな感じの裁判も行われているような気がする。本当は、このシステムを作った人たちを罰するべきなのに、勉学する当人に重荷がかかるのはおかしいという話だ。国は、その上で景気を上げることもできないのだから・・。

まあ、彼女は殺人未遂も行ってるので無罪にはならないが、彼女が決して好きでこのような状況になったのではないということは法廷で言えたというのが今回の幸澤のお手柄?だが、ドラマで判決がちゃんと示されないのは、そのくらい、裁判員裁判は曖昧なところが多いということでもあるのだろう。まあ、今回もなかなか面白かった。

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