見出し画像

「アノニマス(第5話)」居場所が広がって、居場所がさらになくなっていく世界

ネット社会が広がる前には、こういうドラマは、少しデフォルメしすぎだろうと考えることが多かった。だが、今回のYouTuberがネットサロンで会員をリンチして楽しむような話は、確かにありそうだし、実際、被害にあったものは、生きる意思をなくすこともあるのだろうと思う。

ネットの中で話そうとする人は、リアルな事とは別の世界でそれを行なっている人が多いのだと思う。つまり、リアルとネットはリンクしていないということだ。だから、二重人格的なことが生まれるし、リアルではできない攻撃もできる。ただ、攻撃される方は、リアルな人格で悩むわけで、この回で描かれていたようなことは、ネットのあちこちで起こり得ることだと思う。

ただ、この事の発端は、加害者が警察に捜査を依頼したことにある。この辺はお間抜けな気がする。ネットの匿名性はそんなに担保されないし、過去の記録は、管理人が消去したところでどこに残っているかわからない。ネットをいじればいじるほど、そこは理解できると思うのだが?まあ、加害者の自業自得の結果なのだろう。

ネット社会の問題は、この被害者のように、どこにも逃げられない人がネットに逃げてさらに痛めつけられるようなことなのかもしれない。まあ、ドラマ上は、図書館の女の子が救いにはなっているが、こんなに偶発的なことはリアルでは起こらない…。

ネット内社会は、もはや違う国として成立しているみたいなものである。もはやリアルな警察で事件を追い切れる状況ではない。だからこそ、システムを運営している方は、さまざまな施策を行なっていたりはするが、それが国家と繋がっていたらまたまずいわけで、世界的にもまだまだ試行錯誤が必要なのだろう。そして、このコロナ禍では、ネット内だけでの人間関係もまた広がっていると思われる。今日もどこかでネット内の殴り合いが行われていると思うと、本当に辛い部分はある。

今回は、香取と関水が、少し意思のつながりを見せた。ラストでも笑顔で香取に向かっていく関水がいた。そして、「アノニマス」と名乗る謎のネット内の人物もドラマの中ではメインに上がってきている。色々と稚拙な部分もあるドラマなのだが、色々興味深い内容の方が上回っている感じで、観るのを止める感じではない。

ただ、ここにきて、香取慎吾をうまく使えていない気もする。結局、彼がネットを使えなさすぎなわけである。そう、根っこの部分に、もっと突っ込んでいかないと、話が香取中心に回っていかないということだと思う。

今回はYouTuberの話だったが、なかなか彼らも生きていくのが大変なのだと思う。ある程度の資金が溜まったら違うビジネスに持っていく方向にしないと、生きるのも辛くなるのではないか?

彼らのおかげで、地上波テレビ局のビジネスは破壊されている感じだが、一人放送局を続けると、個人が破壊される気がする。まあ、技術とのせめぎあいではあるのだが、…。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?