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「オクトー 〜感情捜査官 心野朱梨〜」飯豊まりえ初主演、目の演技が要求されるハードル

こういう題材は、漫画原作かと思ったら、オリジナル脚本。他人の目を見ると、そこから見える色で感情がわかるという主人公。なかなか題材としては面白い。ここで出てくる「プルチックの感情の輪」というやつ、初めて聴いたが、確かにドラマに使えそうな題材。考えれば、この輪の基本になる「喜び・信頼・恐れ・驚き・悲しみ・嫌悪・怒り・期待」という8つの感情の合成が、面白いドラマの脚本を作ると言ってもいいだろう。そう、この感情を作り手が使いこなせるか?というところがこのドラマの良し悪しを決める。

初回の話は、心中未遂をした、被疑者の本田望結の目に期待の感情が見えるという話から、その心中がSNSの「いいね」の数を増やすための行為だったという結末。こういう心理は、今の若者にはわかりやすいのだろう。大人である私は、そんなものSNSの最初から胡散臭い数だと思っているので、こういう脚本は書けないなと思った次第。そういう意味では、あまり面白いオチではなかった。しかし、本田望結、この間見た映画「きさらぎ駅」でも思ったが、ちょっとふくよかになっている。そして、こういう悪役めいた感じが似合うようになっている。今後、どういう道を進むのか?微妙な感じを抱く今日この頃。でも、そこそこ、この役上手くこなしてるのですよね。

そして、このドラマの主役は飯豊まりえ。最近では、「恋なんて本気でやってどうするの」や朝ドラ「ちむどんどん」で結構、目立つ役に使われるようになっている彼女の初主演ドラマ。私的には、雰囲気は結構好きなタイプであるが、主役としてどこまで頑張れるか?というところ。他人の目から感情を透視する役なので、基本のアップ、目のアップが多い。これ、女優としては、結構、ハードルが高い気がする。下手だったり、振り幅がないといっぺんで飽きられてしまう。そして、ドラマ自体が深夜枠で低予算なのだろう。取調室でのやりとりが多く、この芝居も、なかなか難易度が高いと思う。そう、このドラマをうまくこなせば、これからどんどん役も着いていく感じがする。

深夜枠といえば、相手役である、浅香航大は、最近、深夜枠のドラマによく出ている。ある意味、出過ぎの感じもする。まあ、日本のエンタメ界の悪い習慣で、このくらいの役にはこの役者的なところなのでしょうが、ちょっと、最近、飽きてきた。

そういう点では、飯豊の警察での上司役が山中崇。これ、「ちむどんどん」の新聞社と同じわけで、こういうのも、避けられないのでしょうかね?

そして、話のメインのドラマは、飯豊が何故、他人の感情の色が見えるようになったかという部分なんだろう。だから、感情を無くした姉の役に松井玲奈など使っている。最後に出てくる無表情の松井の演技、良かったです。この人も、もう一つ上を目指してほしい女優さんだ。

まあ、深夜枠のドラマで小品感はあるが、結構、先は面白くなりそうな一編ではある。

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