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「推しの王子様(第5話)」「好き」とは何かという原点に戻るラブコメ

ドラマは折り返し点。ということで、主演2人の恋心が動き出す流れ。なかなか面白かった。

まずは、ゲームの試作ができ、社長の比嘉が「何か違う」と言い出す。ゲームの分岐点での質問で、両方に魅力がないといけないというのは、脚本的に見ればとても重要なこと。視聴者が「どうせこうなるんだよ」というドラマはやはり面白くない。視聴者が、それなりにプランA、プランBを考えるようなドラマの中で、全く違うプランCが出てくるようなドラマが最高に思ったりもする。それでいて、内容はシンプルなのがいい。

そんなゲームの話の中で、渡邊が「好き!」という気持ちがわからないと言い出す。白石聖に告白された末の迷いなのだが、ここで、皆が「好き」とは何かを語り出すシチュエーションは、すごい無駄に見えて面白かった。過去の哲学者が様々に「恋愛論」を語るように、その全体像はよくわからない。引力のような、空気感のような、いわゆる「キュン」の正体は、100人いれば、100通りというところだろう。

そこで、恋愛シミュレーションをしようなるのだが、言い出しっぺが来れなくなり、渡邊と比嘉が遊園地デート。そう、ここで二人がデートという言葉を一切使っていないのは分かりやすくていい。そして、ジェットコースターから始まって楽しむ二人の画を追うスタイルは、このドラマではとても効果的だ。だいたい、これだけ大人の二人が遊園地で楽しむシーンってなかなか撮らないものですよね。そういう意味でも新鮮だった。そして、渡邊は「好き」を少し理解してしまう。

だが、前日に白石との話の中で嫉妬していた比嘉が、ここでそれらしい雰囲気をもう少し出してもいいだろうと思うのだが、そうはならない感じがまたいじらしいのか…。

そして、その行動を知ったディーン・フジオカが嫉妬のような意見を放つ。そのやりとりを聞いた渡邊が比嘉の部屋を出ていくことに。まあ、心が波立つ感じに終わっていくのはとても効果的であり、そこで白石が渡邊に出会うという流れもお決まり的だが、それでいいのだろう。

そう、ある意味、ここまで観ている方は、あまり裏切られずにきている。渡邊の心がまだまだ大人になりきっていないので、あまりイレギュラーな考えができなかったというところだろう。そして、ここからは、本当の大人の恋愛劇として描かなければならないわけである。どう料理して展開を作っていくのは、ドラマ自体がロールプレイングゲームのようになっていく感じで楽しませてくれればいいように思う。ここから後半がこのドラマの見せ所な気がする。

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