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「テッパチ!(第10話)」男は、優しいだけでは生きていけないということか…。

最終回前に、なんで合コン番組なのか?と思ったが、その着地点はあまりに悲しく虚しい状況であった。主役は町田啓太であるわけだが、バディの佐野勇斗をこんなひどい形で夢破れるようにしたのは、救いがなさすぎる感じがした。ここまでショッキングにすることで最終回で何を掴むかというふうにしたいのだと思うのだが、他に方法はなかったの?と思う人は多いと思う。

大体、町田も佐野も、北村一輝に街で拾われ、「夢」を叶えるため、人生をやり直すために自衛隊に入ったわけだ。そういう意味で、佐野を脱落させるような必要があったのかと誰もが考えるだろう。

佐野が音楽隊の試験に臨むところで、番組で知り合った女が電話をかけてくる。「死ぬ」という電話。まあ、タチの悪い悪戯だったわけだが、ここに佐野が動くのもいまいち無理がある。確かに、本当に死んでしまったら、その後に悔いは残るだろうが、自分で行く必要があったかという問題だ。やはり、夢の鳥羽口にいて、それを放り出すのは、夢の強さがそこまでなかったのではないかということなのかもしれない。そう考えて振り返れば、彼は自衛隊生活の中でいつもトランペットを吹いていたわけではない。そう、今ひとつ情熱を他に感じさせるものがない存在の仕方をしていた。脚本家は最初から彼をこうする気で、特別に音楽への情熱を書かなかったのかもしれない。

町田は町田で、怪我をさせた青年の元に会いに行くが、簡単に拒否される。ここも、もう少し何かの光が見えてもよかったのではないか?そう考えると、なかなか残酷なラス前の回だった。ドラマ的には、自衛隊というものを抜きで、青春の夢の導線みたいなものを描きたいのだとは思うが、ここにきてもう一つ、残酷な話で盛り上げていくのは、理解しかねる。

そして、先週あった、町田とラグビーの話も出てこない。私は、最後に町田がグラウンドに立っている姿、つまり、過去を払拭して前向きに生きる姿が見たいと思うわけだが、それを見ることはできるのだろうか?

次週が最終回、もう一回、災害か何かで動くことがあるような予告編。自衛隊の広報ドラマなら、それらしくする必要はあるわけで、どう、体裁を整えるかだと思う。優しさだけでは自衛官は成立しないというのは、今回のテーマだったかもしれないが、大体、あんなゲス女を出す意味があったのか?というところだろう。女子自衛官も多い現在、色々と描き方が雑な気がするのだ。

そして、女性といえば、白石麻衣の描き方ももう少し、感情移入できるものにできなかったのかと今更思う。大体、彼女が何故に自衛官になったかという話が出てこないのは、キャラとしてわかりにくい気が今更する。

とにかくも、次週が最終回。それなりに爽やかな終わり方がほしい、青春ドラマである。


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